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日本の水道水 ――「安全神話」はもはやこれまでか

日本全国で利用されている水道水に含まれる有機フッ素化合物(以下、PFAS)の検出調査結果が初めて公表されました。今回の検出調査では「すべての地域で目標値以下」であることが確認されたものの、数年スパンで見ると明らかに目標値を上回る地域が多く、今後日本の水道水をめぐる「安全神話」が脅かされていくことは間違いありません。

では早速、PFASによる水質汚染への理解を深めるため「水道水PFAS検出状況マップ」を見てみましょう。改めて確認してみると、明らかに基準値を超える地域が多数存在しています。今回「すべての地域で目標値以下」であることが示されたからといって水道水が安全とは言い切れないことが2020年から2024年までの経時的な調査を通じて見えてきます。いや、むしろ「すべての地域で目標値以下」であると今回言い切ったことの方が「とってつけた感」的な違和感を生じさせます。


環境省「PFAS」啓発用リーフレットより

PFASの危険性は、撥水性(=水処理技術で除去できない)や耐熱性(=沸騰で分解されない)という特性にあり、人体に入りやすく蓄積しやすいことから「永遠の化学物質」と呼ばれています。欧米では「発がん」「免疫異常」「脂質異常症(=高コレステロール)」との関連が指摘されている恐ろしい物質です。

人体に有害である以上、欧米のようにPFASを含む製品の販売を禁止したり、PFASを含む飲料水の規制強化に取り組むべきです。それをしていないということは、お得意の「問題の先送り」がまた繰り返されていると指摘せざるを得ません。そうせざるを得ないのは経済的成長を最優先にするため一部の産業界を保護する必要があるですが、それは水道水汚染を矮小化することにほかなりません。この問題を放置すれば、知らない間に国民の健康が危機にさらされることは必至です。日本の水道水が安全であるという「神話」はもはや過去のもの。PFASの危険性を回避するための方策を進め浄水技術の早急な改善を図るべきです。

 

 

 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

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