空き巣が使用すると考えられている「マーキング」。空き巣のターゲットとなりそうな家の特徴や状況をほかの空き巣同業者と共有したり次に訪れる際の目印として残す方法と考えられています。たびたび「探偵ファイル」の執筆に際しお世話になっている元刑事に筆者が聞き取り調査をしたところ、「マーキング」は2010年代頃から発覚し今も変化しながら発展しているそうです。
ALSOK の公式HPにも情報提供あり
「マーキング」は気に留められずに長い間残りやすい場所、例えばポスト、インターフォン近く、門柱などで行われます。いずれも直接マジックで書かれたり、紙やステッカーを貼り付けられることが多いようです。2010年代と比べると、今は空き巣が「司令塔」「情報収集」「下見」「実行」など細かな分業体制へと変わってきており、「マーキング」は「下見」担当がする仕事です。「下見」は業者や勧誘員を偽装することもあるので要注意。
つまり「マーキング」は空き巣を実行する側の貴重な情報ですから放置していると深刻な空き巣被害に遭う可能性があります。例えば、某住宅密集地域では、郵便ポストに貼られた「F△ル○」と書かれたシールが「マーキング」でした。この家では、空き巣は家族が2日間の家族旅行で不在のタイミングで窓ガラスから侵入し現金や貴金属を持ち去りました。別の事例では、在宅時に庭が荒らされ、無造作においてあった資材が盗まれました。庭の入り口に「F○」と残されていたそうです。
以下、「マーキング」の記号と意味を一覧にしておきます。
F=家族または複数の人がいる世帯
MS=男性1人暮らし
WS=女性1人暮らし
R(ル)=留守
○(または白いシール)=侵入可能
×(または黒/グレーのシール)=侵入不可能
例えば、
「○18-21」=18時から21時まで侵入可能
「×18-21」=18時から21時まで侵入不可能
を意味します。もし見つけたら即座に消し、警察に届け出ましょう。
女探偵 堺浄(さかい・きよら)
政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。