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筧千佐子死刑囚、死刑執行をまたず病死

筧千佐子(かけひ ちさこ)死刑囚が拘置所で病死しました。筧死刑囚といえば、結婚相談所を介して知り合った男性10人以上を青酸化合物による不審死へと至らしめたと考えられている、戦後、最も多くの人を殺めたひとりに数えられる唯一の女性です。ただし筧死刑囚が立件された事件は4人で、青酸化合物が認められる以前に火葬されたご遺体など少なくとも6人の死については証拠収集が困難であることから不起訴となっています。計算高さと人をだますために嘘を突き通す知能が発達した「サイコパシー」であることが明らかです。

問題となるのは、死刑確定後も、日本では死刑の執行まで平均7-10年もの歳月を要することです(もちろん税金が使われている!)。筧死刑囚は再審請求が高裁からも最高裁からも棄却された、いわば「死刑執行を待つばかり」な状態であったわけですが、死刑執行を待つまでもなく病死に至ってしまった。

死刑囚が結婚相談所に持ち込んだとされる写真。ご冥福をお祈りする。

 

この流れ、非常に「モヤモヤ」が残りませんか? 筧死刑囚は少なくとも10人の命を奪ったにも関わらず最終的には死刑を全うすることができなかったということに。

筧死刑囚のような状況下で死刑執行ではなく病気による死亡で結末を迎えることは、法の厳格さや正義の実現に疑問を投げかける結果を招きますし、何よりも被害者やその家族にとっては納得できない結末なのではないでしょうか。病死というのは、罪を償ったことに値するのでしょうか。罪を償うまでもなく命をまっとうしたことになってしまうのではないでしょうか。

これによって抱かされる「モヤモヤ」を解消するためには、死刑執行の迅速化と透明性の向上が必要です。死刑がいつ執行されるかは、現状、周囲にも死刑囚にも「知らされない」という状況は変えるべきです。また死刑が執行されなかった場合の理由や過程を明確にし、社会的な信頼を築くことが必要です。

 

 

 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

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