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「酒豪」であること -女性が出世する条件-

Sexとジェンダーを研究していると、日本社会で出世する女性の「ある共通点」に気が付きます。共通点とは「酒豪」であることです。

例えば、芸能界で活躍する女優の多くは「酒豪」です。橋本環奈、伊藤沙莉、長澤まさみ、吉高由里子、浜辺美波、広瀬すず、新垣結衣、北川景子、有村架純、高畑充希・・・みな「酒豪」ですし、日本労働組合総連合(「連合」)で初の女性会長となった芳野友子も大の酒好きで知られています。野田聖子、小渕優子、蓮舫、辻元清美など、与野党の女性議員も「酒豪」だし、水卜麻美、三田友梨佳などなど、多くの女子アナも「酒豪」です。

 

日本社会はまだまだ男性中心であり、会合や「打ち合わせ」と称される酒席で信頼関係を築くことが重要です。だからこそ、お酒を飲む席で、男性に負けず劣らず「飲める」ということは、女性が男性並みに出世するためにも有利です。菅義偉政権で内閣広報官を務めた山田真貴子は、女性が成功する条件に「飲み会を断らないこと」をあげているほどです。つまり「飲み会を断らないこと」は女性にとり、多くの人と出会い、信頼関係を築き、男性中心社会にのし上がるために欠くことができない条件だと結論づけることができます。

良いかどうかはさておき、「酒豪」であることが現代の「出世する女性」の象徴であるならば、「酒豪」でない女性が日本社会で被る不利益は少なくないということになります。子育て中の女性、介護中の女性も、外でお酒を飲んでいる時間をとることは困難です。その結果、「飲めない」女性が信頼構築や情報共有の場に参加しにくくなり、仕事の機会を逃すこともありうるからです。

「飲める男性」を基準とした「飲み会文化」そのものが女性にとり「障壁」となっているとしても、その文化そのものを無くしてしまうことができない以上、飲み会に出ることができない女性が昇進や重要なプロジェクトへの関与から退けられてしまわない社会や組織の仕組みを作らなければ、真の女性活躍はまだまだほど遠いのかもしれません。

 

 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

 

 

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