「氷河期世代」(バブル崩壊後の1990~2000年代に就職活動だった人)の貧困化が深刻です。制度の整備とは裏腹に、真面目に労働していても貧しいという一定の国民を生み出す構造的な問題で、明らかに政治と行政の失態です。その一方で、金融資産5億円以上の「超富裕層」が10万世帯目前まで迫ってきているニッポン。格差の拡大が気になるところですが、実体として、「超富裕層」はどんな暮らしぶりなのか・・・大いなる羨望と少しの野次馬根性で「超富裕層」を垣間見てきました。
旦那様は夫の同級生で都内住宅地に広大な土地を所有する50代ご夫婦。世帯所得が年間2億円超と推定されるご夫妻は我が家とは「超格差フレンズド」なのですが、なぜか夫と気が合い、今もお付き合いが続いています。この連休にご自宅にお邪魔したのですが、堅実で、できる限り目立つことを避けて生活されているご様子。その暮らしぶりは至って謙虚で庶民的でした。
旦那様の起床は毎朝7時。お庭で育てている野菜を収穫するのが日課だとか。「ちっちゃいけど大根が獲れるんですよ」とチャーミングに微笑む旦那様。小ぶりの大根をたくさんお土産にいただきました。還暦を迎えたばかりの「姉さん女房」の奥様はお庭で育てたお野菜を持って、地元の「こども食堂」でボランティア活動をしているそうです。「人の役に立っていると思えることが健康の秘訣」と屈託のない笑顔が素敵です。
食事は原則自炊、車はプリウス、外食はお気に入りの近所の定食屋さんか鰻屋さんなんだとか。世の中で噂される、高級タワマンに住み、高級レストランでグルメを楽しみ、高級車に乗り、海外旅行を楽しむ、といった富裕層像とは大きくかけ離れていてとても驚きました。
「幸せ」の定義は人それぞれ。「ウェルビーイング」とは、本当に大切だと感じる価値観に集中して暮らすこと。多くの研究が示すように、人の役に立ち、質素で充実した暮らしぶりが、実は「富」を生み出すのかもしれません。
女探偵 堺浄(さかい・きよら)
政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。