情報提供・ご意見ご感想などはこちらまで! 記事のご感想は一通一通ありがたく読ませて頂いております。

なにもフジテレビだけではない -「女子アナ上納」という「性的搾取」

近ごろ大問題となっている「女子アナ上納」。特定の権力者と円滑な関係に保つため、若い女性が性的に消費される、いわば「性的搾取」です。フジテレビと中居正広のケースでは、これにフジテレビが組織的に関与してるかどうかが最大の焦点でしたが、実は日本でも世界でも、普通の制度や組織と「性的搾取」は共存しています。

例えば、女優やアイドルが、プロデューサーや事務所関係者に「性的搾取」されるケースは、「育成」という名のもとに。「モデル契約」や「タレント契約」のはずが実際にはAVへの出演が強要されたというケースは、「下積み・修行」という名のもとに。米国でも、世界の音楽業界を仕切るプロデューサーのショーン・コムズによる「性的搾取」が大問題になっています。


ショーン・コムズ 「Wikipedia」より

女性が自ら「性的搾取」に参入していってしまう特有の事情もあります。キャリアや昇進のため、不利益を被りたくないため、秩序に従わざるを得ないため、期待を裏切れないため…。逆に「性」を武器にして野心的に権力者に近づく女性もいます。

「性」が権力関係によって搾取される関係性を「セクシュアリティ」と呼びます。「セクシュアリティ」の対象は様々な「性」であるにせよ、その大部分は女性です。それだけ「女」であることには「服従する者」「尽くす者」「ケアする者」「立場が弱い者」「抵抗できない者」といった歴史的・文化的な固定観念がつきまとっているため、「セクシュアリティ」は容易に覆りません。日本では古代や中世から「セクシュアリティ」が存在し、現代も形式を変えつつ維持しています。

だからといって諦めることなかれ。我々は、法律や倫理の観点からも成熟した社会に生きています。監視体制の強化、ジェンダー平等教育の普及を諦めてはいけないのです。被害者が安心して声を上げられる支援体制を整備し、組織全体での透明性を高める必要があります。シンプルだけど、それ以外に方法はないのです。

 

 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

タイトルとURLをコピーしました