声には証拠能力があります。相手に無断で録音する「秘密録音」についても裁判所は「証拠能力を認める」としています。ただし、否定された判例もあります。

・制作会社Xは、製薬会社Yの動画を作成していたが、Yとのスポンサー契約の成立が争いとなり、制作準備費用の賠償を求める訴えを提起した。
・一審で敗訴したX社代表取締役AはY社広告係長Cから有利な供述を得るために、仲介者BとともにCとの会食の席を設け、会話を秘密裏に録音した。
・Xは、録音テープを書き起こした文書を控訴審で証拠として提出した。
・判決(要旨)「右供述は、Cらが酒食の饗応を受ける席上においてなされたものであって、Aの誘導的発問に迎合的に行われた部分がないでもないと認められ、信用しがたく、X主張の契約の成立を認めさせるには足りない」(昭和52年7月15日 東京高裁)
「声真似」については、アメリカの有名な判例があります。歌手ベット・ミドラーの歌声(声真似)を無断でCMに使った自動車メーカーに対し、「他人の声を模倣して商業利用する行為は、人格を盗むに等しい」として不法行為としました。1988年の判決です。そしていま、生成AIによる声優の「声」の無断利用が発生しています。
トップ声優が、自身のAIクローン音声を使った動画がTikTok上に大量に投稿されたとして、匿名投稿者を相手取って動画の削除を求める訴訟を提起しました。この事態を重く見た声優業界や政府は、法整備に動き出しています。トップ声優たちが法務省のヒアリングに応じ、「声は声優の魂である」と訴えかけています。
今後は、生成AIによるフェイク音声データが裁判所に証拠提出される懸念があります。科学捜査研究所であっても、「AIが生成したフェイク音声を100%見抜く」ことは難易度が高いといわれています。
一方で、良識あるトップ声優陣はAIのすべてを拒絶しているわけではありません。
「声優本人の許諾と適切な対価の支払い」を前提としたAI音声の多言語化(海外展開)といったポジティブな活用方法が模索されています。「声優の権利を守りながら、どのように新しい技術と共存するか」。AIと共存し、大切な「声優の魂」を守る重要なターニングポインを迎えています。
証拠収集のご相談はガルエージェンシーへ。

探偵船引
「タフでなければ生きていけない、やさしくなければ生きていく資格がない」。探偵フィリップ・マーロウを敬愛しています。
