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『リツイートの数だけリスカする』精神科医ヤブ

「リツイートの数だけリスカする」

ツイッターを見ていると、そんなことを書いている人がいて驚いた。どうやら似たような人たちが少数ながらいるらしい。

リストカットやODを繰り返す境界性人格障害という病気(?)の人たちは、病院では「ボーダー」、ネットでは「ボダ」と言われている。彼らは病院では嫌がられることが多いが、ネットでは(多くは冷笑されながらも)一部から根強い人気があったり崇拝されていたりする。

どうやら、この20年間で急速に拡大した「ネット内空間」は、ボダの人たちにとっての良い避難所になっているようだ。冒頭に紹介した「リツイートの数だけリスカする」というのは、きっとボダの人たちに共通する「見捨てられ不安」「見離され不安」による行動なのだ。

彼らは誰からも見てもらえなくなることを極端に恐れる。理由の一つには、幼少期の母との関係が影響していると言われている。そして、見離される不安が彼らの忍耐力以上に高まると、「行動化」と言われるリスカやODに発展する。

リツイートの数だけリスカすると言う彼女からは、
「誰でも良いから私を見て!見てくれた人には、私の血(命)を見せてあげる!!」
そんな痛々しくて毒々しい、グロテスクな叫びを感じてしまう。そんな解釈や分析なんてやめてくれと言われそうだが、少なくともこちらからはそう見えるという話である。

そんな彼らを見て、多くの部外者が冷笑しながらリツイートする。そして、ネットで区切られた安全地帯から遠巻きに見物する。ところが中には「そんなことやっちゃだめだ」と親身になる人が出でくる。そんな「親身さ」は、現実世界で振り回されている家族や友人からすれば「振り回されごっこ」にすぎない。

所詮ごっこ遊びにすぎないのだが、それがボダな人たちには気持ちが良く、心が少しばかり安定するのだろう。そういう「適度な距離で、振り回し、振り回される」という関係を可能にしたのがインターネット、特にツイッターを始めとするSNSなのだろう。

彼らがツイッターで安定して病院に来ないで済むのなら、こちらとしてはありがたい限りである。

 

 

ヤブ 

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