それは私が、10バーツ(約30円弱)のタイラーメンをすすっていた時のこと。
向い側に座っていた、小奇麗な日本人女性が話し掛けてきた。
女性「宝石を買ったんだけど、やっぱり気に食わないから返品することってできますかね?」
梅宮「ん? どういうことですか?」
女性「今は期間限定で、政府の許可を得て開かれている大きな宝石展の最中で・・と、会う人会う人が言うから、興味で行ってみたんです。案内してくれた人に勧められて、エメラルドの指輪を買っちゃいました。その時は可愛いなと思ったんです。でも冷静に考えたら、詐欺としか思えなくて・・」
おいおい、典型的なバンコク名物・宝石詐欺のパターンじゃないか。
大抵のガイドブックに「注意事項」として掲載されている超有名な詐欺である。
「アメリカ宝石学会の正鑑定家」という文字と、チープすぎる包装がミスマッチで怪しい
詐欺の手口はこんな感じ。
1:詐欺団の目利き役が、隙の有りそうな小奇麗な旅行者をチェック、宝石を買いそうなターゲットを見つける
2:詐欺団人員Aが話し掛ける。適当な雑談をしつつ、宝石展の話を持ち出す。政府の許可を得て開かれている・期間限定・今日で最終日、がポイント。「ミキモトも買い付けに来てるよ」等と話す
3:詐欺団人員Aはあまりしつこく勧誘せず、ターゲットから離れる。程なくして詐欺団人員Bが近づき、宝石店の話をする。詐欺団人員C、詐欺団人員D、と次々に現れ、皆が宝石店の話をすることに
4:ターゲットが話を信用し始めたら、グルになっているタクシーに乗せられ、店に連れ込まれる
「日本に帰ったら高く売れるよ」と言われ、数十万円分のクズ宝石を買わされる人も結構いる。この女性の場合、そこまで馬鹿ではなく4万円程度の指輪1つで済んでいたが、悔しさが込み上げツーリストポリスに通報。
結果、お金は全額戻ってきたそうだ。
大手詐欺宝石店の1つ
旅先でのウマイ話なんて、有るわけがない。
梅宮 貴子