情報提供・ご意見ご感想などはこちらまで! 記事のご感想は一通一通ありがたく読ませて頂いております。

なぜ、自民党は元アイドルを政治家にするのか  「おっさん政治」シリーズ2

先週の「おっさん政治」シリーズでは、政党内部で「票」と「カネ」を握っている「おっさん」に権力が集中している実態や、そこで「おっさん」に従属せざるを得ない女性議員の立場を指摘しました。

第2弾では、なぜ、政党は元アイドル、元女子アナ、元アスリートを好んで公認候補者にする傾向があるのか、その傾向はなぜ自民党に多いのかを、「おっさん」政治の視点から考えていきます。

結論から述べると、彼女たちは(1)知名度があり、(2)顔が知られており、かつ、(3)親しまれた存在であるため、当選する確率を予測しやすく、政党にとってもメリットだからです。「おっさん」達からしても、例えば、元おニャン子クラブやら、元SPEEDやら、元女子アナやらが「票」を稼いでくれたら、政党としての得票総数も増やすことが期待できます。また、彼女たちと机を並べて仕事をすることができたら、きっと「おっさん」も嬉しいでしょう。

一方で、彼女たちが当選を果たし、国会議員としてデビューをしたからといって、中枢で政党の意思決定を任されるわけではありません。残念ながら、権力や「カネ」にまつわることの多くは「おっさん」たちにより独占されています。男性議員であれば、新人の時代に「雑巾掛け」の期間があったとしても、期数を積み重ねていけばやがて政党の中枢で意思決定を担えるかもしれません。しかし既述したような女性議員の場合は、持ち前の知名度を活かして有権者を動員する、いわば「お飾り」的な役割を果たすことが求められます。

日本の「女性政治家像」は、日本の未来を憂い、方向性を定め、政策を実現させるといった「政治家像」からかけ離れていますが、自民党の「おっさん政治」の枠組みではそうすることでこそ存在意義を発揮できるというのが実態です。別の見方をすれば、「お飾り」としての役割をこなし続けることが、まさしく「おっさん政治」への従属です。やがて「お飾り」と「おっさん政治」への従属が少なからず相関していると気づくことが、国会議員になった女性が直面する切実なジレンマであると考えられます。そして、こうした女性の登用の仕方が本来の男女共同参画のあり方なのかどうかは甚だ疑問です。

元アイドル、元女子アナの面々  (C)ORICON NewS inc.

 

 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

タイトルとURLをコピーしました