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ハニートラップを見破れ!2 ―日本の政治エリートから国家機密情報は駄々洩れ―

前回、ハニトラが女性から男性に巧妙に仕掛けられていく過程を米国のリスク管理会社の元幹部への取材から詳述しました。今回は、とある個人へと組織だったハニトラが仕掛けられていった実例を、架空の人物・架空の国・曖昧な時代設定に改めた上で紹介します。驚くべきことに組織的なハニトラは、とある重要人物が公式にX国を訪れたおりに大胆に、堂々と繰り広げられていったそうです。

しばしばハニトラの対象となるのは権力を握る政治エリートやエリート官僚です。日本の某大物政治家Aは派閥の領袖であり官僚を束ねる「族議員」。X国の中枢に入る政治的集団と太いパイプを持つことで知られており、たびたびX国を訪れては日本とX国との友好関係のために尽力していたことで知られています。

AがX国を訪れる際に、必ず「アテンド」として配置されるのがZ。アテンドというのはいわゆる秘書で、公式行事のロジスティクスだけでなく、その後のいわゆる「アフター」の手配なども含め、Zに頼めば1発ですべてを整えてくれる、そんな存在だそう。

ZはAのすべての要望に応えるために同じホテルフロアの別室に滞在しているそうで、24時間Aの近くに待機している存在です。つまりは、何が大胆で組織的かというと、早朝であろうと夜中であろうと、ZがAの部屋の行き来をすることが「自然な流れ」であるという設定が設られているというのがX国のすごいところです。Zがどのような人物であるか、詳細は不明だそうですが、日本の名門私立大学に留学した経験を持つ日本語が堪能な40代の女性で、モデルのような美しい女性であるとのこと。そういう設定のなかに、Aは年に少なくとも1度、X国を訪れるということがもう10数年続いているということです。

ただ、長年の調査の結果、明らかであるのは、日本人はハニトラに引っかかるまでのコストが極めて安いそうです。

例えばX国の場合は、

・飛行機運賃(ファーストクラス) 300万円

・5つ星ホテルスイート 1泊200万円、3泊しても600万円

X国からしてみれば、最大900万円の予算で国家機密などの情報を聞き出せるとしたらかなりお安いしメリットしかありません。重要機密を聞き出すのにたったこれだけのコストをかけられるだけで情報を漏れさせてしまうというのが日本人政治エリートの特徴だそうですが、この金額自体は米国や英国の10分の1にも満たないそうです。我が身にこういったことが降りかかった場合、機密を喜んでしゃべってしまうって人はいますか? 私も自信ないかも。とほほです。

 

 

 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

 

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