情報提供・ご意見ご感想などはこちらまで! 記事のご感想は一通一通ありがたく読ませて頂いております。

元旦から営業のデパートは客が殺到で一人勝ち状態?正月勤務の店員の本音は

「働き方改革」が進められる中で、元旦の営業を取りやめる動きが様々な業界に見られるようになった。昨年末には、コンビニ業界での元旦休業や営業時間短縮などが報じられて、大きな話題になったことも記憶に新しい。デパート(百貨店)業界も同様の傾向にあるが、一部には例外も存在する。元旦からの営業を行うデパートの実態とは?


西武が一人勝ち?

JR池袋駅(東京都豊島区)周辺には、複数の商業施設が並ぶ。これらのうち、2020年に元旦から営業したのは西武池袋本店のみである。ライバルの東武百貨店池袋店は、2日からの営業だ。西武に隣接し、館内でつながっている池袋PARCO(パルコ)は、今年から元旦は休業となった。ルミネ池袋も、元旦は休業だ。

 

西武池袋本店の外観(2020年1月1日)。

 

これらの商業施設は、いずれも駅構内から直結していることもあり、新年のセールは多くの人々でにぎわう。今年は西武だけが元旦から営業ということで、朝から2万人以上が福袋を求めて押し寄せたと報じられた。まさに「一人勝ち」状態である。元旦から勤務する店員は、この状況をどのようにとらえているのだろうか。

 

東武百貨店池袋店。一部を除き、シャッターが閉められていた。

 

池袋PARCO。店内の照明はついているが、営業していない。

 

ルミネ池袋。休業とは知らずに訪れ、落胆する客の姿もあった。


店員の本音

昨年末、西武池袋本店に勤務する人物に話を聞く機会を得た。店員曰く、「今年こそは元旦が休みになるんじゃないかって思ってた人も多かったみたいです」。「働き方改革」に伴う各種業界での取り組みの影響が、デパート業界にも及ぶに違いないと推測していたからだ。ところが、実際にはそうならなかった。

店員曰く、「上(※株式会社そごう・西武の親会社であるセブン&アイ・ホールディングス)の意向で、『お客様がせっかく来てくださるのに、休むなんて失礼』ということらしいです」。だが、自身はこの状況に否定的ではないという。「お正月はどこに行っても混んでるじゃないですか。むしろ後で休みをとった方がのんびりできて、いいと思ってます」。

もちろん、元旦からの勤務を歓迎する店員ばかりではない。年末年始に帰省できず、この時期でなければなかなか会えない同郷の友人たちとタイミングが合わないと嘆く店員もいるそうだ。また、デパート内に出店している企業の関係者から、「元旦からの営業は厳しすぎる」という声が聞こえてくることもあるという。


現地の様子

1月1日、当サイトでは現地へ向かった。訪れたのは夕方の時間帯だが、多くの人々で店内はにぎわっていた。セール商品が並ぶ売り場のレジ周辺には長蛇の列ができていて、盛況だった。紳士服のフロアで買い物をした際に「正月から大変ですね」と話しかけてみると、「いえいえ、元旦からのご来店ありがとうございます」と店員は笑顔で返答した。

 

池袋駅構内の通路に面した西武池袋本店の入口付近の様子。夕方以降も来店する客が途絶えず、盛況ぶりがうかがえる。

 

一方、別の売り場の店員に同じように尋ねてみると、「まあ・・・いつも、こんな感じです」と苦笑して言葉を濁した。来店客の年齢層は多様であり、大きな荷物を持った外国人観光客の姿も目立った。元旦からの営業には否定的な声もあるが、実際に客が殺到する状況を見ると、一定のニーズがあることも事実のようだ。


高橋 

タイトルとURLをコピーしました