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金を借りて逃げたら山中で惨殺される理由

「もうだめです、御免なさい 」
古いモニターから浮かび上げる文字。
「けっ!けったくそ悪い」
知り合いの街金融、中谷(仮名)は、乱暴にコンセントを引き抜く。
「しかし渡邉さんとヤマが同じとはな、おかしいな!」
机に足を投げ出し、煙を噴かす。黒い毛皮のコート、バックのアイパー。
「中谷君、こいつ(逃亡者)は常連さんかな、それともずぶ?」
「札つきでっせ。何人か手綱引いて荒らしとったんは掴んださかいに」
「そう、じゃ俺らが探すだけ無駄だね(笑)」
「そうすね。見つかったら○○組ですわ、紐つけて」

私は中谷が少しなら時間があると言うので外の喫茶店に入った。
今、街金の競争は熾烈を極めているらしい。3人に1人が借りて一回も払わず、トンコする。
それが、同業の差し金であったりもするから、始末に負えない。

なぜ、金を借りて逃げた人間が、よく殺されて死体で見つかるのか。その理由の多くは、これだ。殺したら貸した金が回収できないのに、と思われた方も多いだろう。
同業と、食うか食われるか。なめられたら終わり。中谷は、コーヒーをすすりながらかかってきた電話に出る。
「今年は五年ぶりにきつくいきまっせー」まさに宣戦布告。
わかりやすく言えば、殺される連中の多くは、闇金のゴト師、である。
金だけが右から左に動く業界。甘い汁を吸おうといろんな奴が群がったとしても、何ら不思議ではない。
業界は対抗策として、ケツモチ(暴力団)に依頼し、見せしめのために拉致して、イヤというほど殴り、ガムテープで窒息死させて、山中に捨てる。その死体は一番の宣伝効果をもたらす。

「こいつらを出し抜いてマルタイ探すのも一苦労だな・・・」
依頼してきた奥さんの顔を思い出す。こんな裏事情があるなんて、露とも知らない。

 
ー つづく ー

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