今日、ゴルフに行った。スコアは45・52の97だった。典型的なアベレージゴルファーである。そして今日も山中のオヤジにいじめられ、半べそ状態だ。こやつ、絶対に自分が負けないように、いつもフルバック(むずかしい位置)からしかゴルフをしない。何と7200ヤード。プロのトーナメントじゃないっつーの。
そして、最大の問題は、こやつの言動にあった。私が大事なショットを打つ瞬間に、必ず、意識が朦朧とするようなことを平気で言うのだ。
「BOSS、左はOBですから気をつけてください、それから、左下がりですからフックしやすいですよ。」
「あーここのグリーンはめちゃめちゃ速いですね。強く打つと池に落ちちゃうかも。」
うるさい。打ってる時だけは静かにしろ。余計に力が入っちゃうから。あーほんとに池に落ちた。
アドバイス系ならまだ百歩譲ろう。でも、死んでも許せないのがほめ殺し系だ。
「いいショットでしたねー。次も今のタイミングで打てば絶対グリーンに乗りますよ」
「このままで行けば、85が出ますよ、今日のBOSSなら間違いない!」
ええいっ言うな! 意識しないように努めてるのにっ!!
そして、きわめつけは容赦の無い揺さぶり。
「BOSSのナイスショットはこの角度から見ると、その素晴らしさがわかる!」
と、私の視界(ちょうどバックスイングで目がいくところ)に立つ。
おまえには人間の血が流れているのか!?
結果、どうしても神経がいってしまい、OBや池ポチャを誘発する。
ほめているだけに、文句も言えない。ストレスもぐんぐん貯まる。
昔、一緒に回った梅川が、「もう山中さんとは回りたくない。自分のゴルフができなくなるっ!!」
と言い捨てて去っていったほどだ。マジで。
オヤジに打ち勝つ精神力が欲しい。今の自分に欠けているものは、どんな口撃にも耐えうる強靭な精神力だ。
いっそのこと、山中の声が聞こえないように
イヤーウィスパー(耳栓)
をつけようかと真剣に悩んだ。でも、これだと何も聞こえなくなるので非常にまずい。
他に作戦は無いものか・・・・・・。最近、そればかり考えている。
聞こえるんだけど聞こえなくする方法は無いものか。テレビでボーリング音痴のガッツ石松が、催眠術をかけられてストライクを連発したように、催眠術師を同伴させるしかないのか。でも、白衣のおじさんがキャディというのは前例が無い。
やはり、山中のオヤジを撃破できるくらい上手になってから、対戦するのがベストなのだろうが、私は梅川のように敵前逃亡したくない。しかし、こやつはシングルの腕前なのだ。バンカーをものともせず、ベタピンしてしまうくらい。キャリア35年vs丸2年。この差はいかんともしがたいのか。
いや、何とかしなければ! 今まで、どんな問題をも乗り越えてきたじゃないか、俺。よし、今日から一ヶ月で、打ち負かしてやる。ここで公言した以上、必ずやってみせる。相手は丸山茂樹じゃないんだ。ただの口うるさいジジィなんだ。
私はこやつに今日、堂々と宣言した。一ヶ月であなたに勝ってみせる、と。すると
「じゃあ私も毎日、筋トレと500球の練習をしますよ。」
するなっ
頼む、しないでっ どうかそのままでおとなしくしていてっ
こやつの体力は半端じゃない。齢60にして、カートにも乗らず、ほとんど駆け足でコースを回り、終わってもケロッとしている。しかも、昨日は夜の3時まで飲んでいた。仕事もバリバリだ。もはや、人間ではない、怪物である。
かたや、私の場合、練習はよくて週に一回。しかもたった100球で飽きてしまう。
でも、やるぞ。決めたことは絶対にやる。
誰か、みなさんの中でプロゴルファーはいませんか?
ギャラも出します。どうか私を山中の魔の手から救ってください。
こうなったらプロになる覚悟で精進します。
それもたった一ヶ月で。