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ある生活保護受給者の不安

現在39歳のAさんは『生活保護』を受給するようになって10年になる。

『生活保護』とは病気や高齢の為に働けない等、自分の力で生活できなくなった人に国が最低限の生活費や品物を支給する制度。


▲障害者手帳

二度の失業で重度の鬱病を患い、29歳のとき『精神障害者2級』と診断されたAさんの場合、毎月約14万円支給され、都の交通機関、医療費等も無料になっている。

住居は家賃5万円、1Kのマンション。
Aさんの1日は、朝8時起床。
朝食後お昼まで音楽鑑賞等をして過ごす。


▲自立支援医療受給者証

昼から精神病院に行き、デイケア(外来治療)の治療プログラムに参加、絵を描いたり運動をしたりする。
昼食、夕食は病院からカロリー計算されたものが無料で支給される。
夕食後は帰宅することもあれば飲みに行くことも。
比較的自由な生活で自分と同じ問題を抱えた人達と過ごす時間もあり、それが回復に繋がり、それなりに充実しているというAさんだが

「周りで一生懸命働いている人を見ると、ちょっと負い目はあります…」


▲精神障害者に交付される『障害者手帳』表紙。“精神障害者”とは書かれていない

Aさんも自ら好んで病気になったわけではない。
しかし、Aさんの病気を理解せず生活保護を受給していることで「乞食と一緒だ」と、Aさんを嘲笑する心無い者もいた。
なので生活保護を受給していることは、周りに言いにくいという。

Aさんの長年の目標は社会復帰。
今、生活に困ることはないが、このままでは一生、月14万以上の生活をすることもできない。
現在、大量の薬を服用しているとはいえ精神状態は比較的安定している。
この10年、入院もしていない。
この調子で回復が進めば社会復帰も可能かもしれない。

しかし新たな不安がAさんの心に芽生えている。

 



▲Aさん

「もし働いて受給額と同じ14万円稼いでも、税金とか払うことを考えると今の方が良い生活ができるんじゃないかと…」

それは回復してしまうことの不安…。

 

リ・コウジ

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