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高級レストランの悪夢 セレブ住宅街の惨劇

冬の気配が近づいてきたある日の夜も更ける頃、一本の電話が鳴った。電話の主は都内の著名人も多く住むような高級住宅街に路面店を構えるオーナー社長で、夜間、店の閉店中に毎晩起こる奇妙な異常事態に困り果てて電話をしてきたのだ。真相を解明してほしいとの調査依頼だ。

まずは現地を確認するために彼の店へと向かった。彼の店を訪れた頃には客も従業員も既に退店しており、寝静まった閑静な住宅街の一角に位置している為、猫が歩いてもその足音が聞こえるのではないかと思うほど周囲も静まりかえっている。店はマンションの1階部分にありシックな外観が街に溶け込んでいる。しかし、外観はこれほど街に溶け込んでいるのに、何か違和感がある。微妙な違和感だが、決定的な違和感だ。のちにこの違和感の正体も白日の下に晒されることになる。

オーナーの話では、ここしばらくの間、毎朝店に来ると雨も降っていないのに看板や入り口付近が湿っていたり濡れたりしているという。そして木製の看板や外部の装飾に日に日にシミが増えていくという。確かにその上質な木材で特別に誂えた看板やその周囲の木部に多数のシミが確認できる。よく見ると雨でできたシミや経年劣化のそれとは明らかに違うものであるのが見て取れる。
ただし、落書きされたり傷をつけられたりしているわけではないので、初めて見る者にとっては何の欠点もない店構えにも見える。依頼を受け、早速次の日から張り込み調査を開始する。午前中に濡れているということは、未明から朝方に何かが起こっている可能性が高い。閉店後から張り込みを開始した調査班を静寂が包む。咳やくしゃみでもしようものなら近隣の住人が起きてしまうのではないかと思わせるくらいの静けさが、永遠と思えるほど長い時間続く。

そしてついに遠くの空がうっすらと白みがかる気配を感じる直前、わずかな物音が聞こえてきた。近所の住民が起きだして窓を開けた音か。探偵はそこで何かが動く影をとらえた。その影はオーナーの店の上のマンションの一室だ。
住人が起床して部屋の空気の入れ替えでもしているのか。と、その影はベランダに出てきて暗視カメラ越しにその人物が60代位の女性であることが見て取れた。年配者が早起きなのは全国共通であるが、体操などをするわけでもなくベランダで少しうろうろしている。と、次の瞬間、ベランダの手摺から身を出した。危ない!しかし、人生を悲観して飛び降りるにはここのマンションでは高さが明らかに足らない。女性が何かを取り出した。バケツだ!
そして彼女はベランダの手摺から身を乗り出して一気にバケツの中身を下の階の店舗めがけてぶちまけた!



なんと上の階の住人の仕業だったのだ!そしてその女性は何事もなかったかのように部屋の中に吸い込まれるように入っていった。この間僅か数十秒だ。行為の証拠はばっちり押さえた。次はバケツの中身が何だったのかを確認する為店の前に向かった。
今上の階からぶちまけられたもの。その正体は一瞬で判った。
糞尿だ!
最初に感じた決定的な違和感は、その強烈な臭いだったのだ。

しかも驚くのはその量だ。長年ビーグル犬を飼ってきた私にはこれが中型犬の1回や2回で出る尿の量ではないことはすぐに分かった。ペットのものであれば数回分貯めているのであろうし、人間の糞尿の可能性もある。
こんなものが店の看板に毎日かけられているなどとんでもない事態だ。オーナーもまさか上の階から毎日糞尿が降ってきていたとは夢にも思わなかったであろう。
映像を見たオーナーはただただ驚くしかなかった。その女性と特にトラブルになっていることもないからだ。この強烈な臭いと汚れを毎日清掃しなければならないとは、正直勘弁願いたい。衛生面でも大問題だ。

オーナーはこの映像を元にまずは弁護士と協議し、警察に提出する等今後の対応を決めたいとのこと。
何の接点もない相手だが、一方的に強烈な恨みを買ったのか、原因は現段階で定かではないがこのような行動に出るとは尋常でなく、気を付けようがない。しかも毎日とは病的なしつこさだ。
あなたは大丈夫だろうか? 知らないところで知らない相手から身に覚えのない事で恨まれる。
常に全方位で警戒を怠らないようにせねばいつ自分が狙われるかもしれない。

備えよ、常に!

ガルエージェンシー東京西部 代表・森 章悟(0120-78-4143)
M大付属中時代はラグビー部に所属。少年自衛官、新宿歌舞伎町の飲食店経営やタイ王国での会社経営等を経て、26歳で探偵に。様々な経験と豊富な世界中のコネクションを生かし、国内はもとより国境を越える依頼も数多くこなす国際派探偵。

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