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ピカピカの新車に驚きの被害! 探偵が見た驚きの秘密と手口

本人さえも気付かない悲劇!じわじわと被害者を追い詰める!


ご近所トラブルで困っているので助けてほしい、とのことで依頼者が訪ねてきた。年配の男性で、仕事も現場を退き、特に趣味などで出かけることもないため毎日自宅にいることが多いという。

ご近所トラブルといえば、境界線の問題、植木のはみ出し、生活音やペットの鳴き声、車のエンジン音等の騒音関係、ゴミや薬品、塗料等様々な臭い関係、水やりの水が飛んでくる、物や車両を置かれて邪魔等の理由が原因でトラブルになって相談に来られることが多いが、今回の場合は原因に全く思い当たる節がないという。

隣人は数週間前から急に挨拶を返さなくなり、何を言っているかはっきりわからないがぶつぶつ文句を言ってくるようになり、暴言のような言葉を浴びせられたりしているものの、はっきりした理由も要求も全く言われたことがないため、対策の取りようがないと困り果てている。しかし隣人の態度がここまで急変した以上、何かされるかもしれないし、気持ち悪いので調査をしてほしいとのことだ。

早速現地を確認しに行く。もちろん大げさに動けば隣人に警戒感を与えかねないので、近隣にも気づかれぬように確認する。直接揉めていない近隣の他の住宅の住人とて、今回の相手(以降、対象者と呼ぶ)と繋がっているかもしれないし、更には対象者の協力者ではないという保証もない。
現地は郊外にある小規模の住宅街。昭和の雰囲気が残る住宅街といった雰囲気だ。住宅同士密集はしておらず、俗にいう「庭付き一戸建て」が集まる住宅街だ。

一通り確認したが、何かが壊されたり、盗まれたり、いたずらをされたりした様子はなさそうだ。
隣人も依頼者もお互い若いころからこの住宅街に隣同士で住んでおり、特に仲が良かったわけでもなかったが、顔を合わせば挨拶をするような関係でこれまで20年以上特に揉めるような事はなかったという。
現段階で幸いにも目に見える被害はなかったものの、今後何が起きてもおかしくないためあらゆる事態を想定し、調査体制に入る。依頼者宅は敷地にもゆとりがあるため、死角ができないよう多数の定点カメラも併せて設置。
依頼者宅の敷地に入るには、玄関先の門扉から入るか、道路に面している、向かって右側の車庫から入るかになる。駐車スペースには扉がないため、容易に侵入でき、そのまま庭まで出入りができる。

1日目、異常なし。人間どころか、猫の出入りもない。怪しい人物が周囲をうろつくよう
なこともない。
2日目、同じく異常なし。平和な住宅街そのものだ。
3日目、またも異常なし。対象者が近寄ってくる気配さえない。
4日目、相変わらず異常なし。宅配便の配達員以外は訪問者もなし。
5日目、この日も異常なく、この後も何の変化もない日々が続く。

そして週も変わり、天候も変化してきた。雲行きが怪しくなり、雨が降ってきた。
雨が降り続く中、夜が明け始めて今日は雨の中での長い一日になることを覚悟したその時、黒い影が現れた。
対象者だ!
まだ薄暗いが暗視カメラは肉眼でははっきり確認できない対象者の姿をはっきり捉えてい
た。
しかしこの時間に、しかも雨の中何をしに来たのか?
対象者は脇目も振らずに依頼者宅の駐車スペースに入った。そして車の前で立ち止まった。依頼者の車はまだピカピカの輝きを放つ新車だ。そしてその手には何か持っている。
雨の中車に傷でもつけようというのか?
手に持っているのは袋だ。袋を開けて中身の何かを車にかけ始めた。全体的にかけているがボンネット周りを特に念入りにかけている。そして何事もなかったかのように立ち去った。
その時間30秒程度だろうか。
ぱっと見た目には何も変化は見られない。ペンキなどではなさそうだ。対象者が帰宅するのを確認し、車両の確認に行く。時間が経てばこの雨に流されてしまう。
近付いてもこの薄暗さでは何もないように見える。車を撫でてみるとざらざらした感触が指先に感じられる。
そう、塩だ!
対象者は依頼者の車に塩をかけに来たのだ。
しかも、雨の日を狙って。雨で塩は流され、雨上がりに見てもわからない。しかも車の隅々まで雨が塩を運んでくれる。細かい隙間に入り込んだ塩はやがて車を錆びさせる。だからボンネット周辺に念入りにかけていたのだ。ラジエターやエンジン回りの大切な部分を錆びさせようという魂胆か。
これでは依頼者が被害に気付かないのも仕方があるまい。何と卑劣な犯人か。しかも時間をかけてネチネチといやらしい性格だ。もしこの事実を知らぬまま1年経っていたら、錆びた新車を前に依頼者はただただ驚くことしかできなかっただろう。
人の恨み辛みは目に見えないところに渦巻き、その矛先が気付かぬところでいつ自分に向けられているかわからない。考えたくもない事だがそれは確実に存在し、いまもどこかで誰かを攻撃している。
今回は依頼者の素早い決断と行動により調査がスムースに実施され、被害の判明とその犯人特定に至った。
降りかかる火の粉を確実に払うためには素早い決断と行動が不可欠だ。火の粉が体を焦がしてしまう前に対処することが重要なのである。



ガルエージェンシー東京西部 代表・森 章悟(0120-78-4143)
M大付属中時代はラグビー部に所属。少年自衛官、新宿歌舞伎町の飲食店経営やタイ王国での会社経営等を経て、26歳で探偵に。様々な経験と豊富な世界中のコネクションを生かし、国内はもとより国境を越える依頼も数多くこなす国際派探偵。

 

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