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懸賞金2000万円も、犯人見つからず ――世田谷一家殺害事件から24年

東京都世田谷区上祖師谷の住宅で、宮沢みきおさん一家の4人(夫、妻、長男、長女)が何者かに惨殺された事件(以下、「世田谷一家殺害事件」)から24年が経とうとしています。日本では、殺人罪など刑罰の上限を死刑に定めている犯罪の時効が撤廃されましたので(2010年以降)、警視庁は成城警察署に捜査本部を維持し、現在も「世田谷一家殺害事件」の捜査を続けています。犯人検挙に寄与した情報提供者には上限2,000万円の報奨金を支払われます(詳しくはこちら)。


警視庁HPより

 

犯罪の手口は極めて残忍で当時の日本では稀なものでした。長男は背後から布団に押し付けられたことによる窒息死。宮沢さんは柳刃包丁で急所を刺されたことによる死亡。とりわけ妻と長女の殺害は残忍で、ふたりとも柳刃包丁で執拗に襲われたことによる敗血死でした。

まるで地獄のような殺害現場には、犯人が宮沢さんの邸宅内冷蔵庫にあった食べ物を盗み食いした形跡がありました。指紋や靴跡なども大量に残っており、パソコンの通信記録は犯人が宮沢さん邸宅に10時間以上滞在したことを証明するものでした。異常です。

しかしそこまでの時間をあえて凄惨な殺害現場で過ごした理由は不明であり、大量の証拠も動機や犯人像をなんら特定することには役立っていません。犯人は、捜査の混乱を狙ってあえて大量の証拠を残したのだとすると、どこかで今、意のままに陥った日本の警察を高笑いしているのでしょうか。凶悪で計算高い犯人像が思い浮かぶのは私だけではないはず。

捜査の混乱は、いく層にも重なり合う情報が一貫した殺害動機や犯人像に結びつかないことによるものです。すなわち、殺害動機が怨恨なら犯人と宮沢さん一家との関連が見つからず(恨みを買うような人物ではなかった)、殺害動機が強盗ならそもそも金品が盗まれた証拠が存在しないのです。

加えて、犯人が日本国籍なのか外国籍なのか判然としないため捜査は著しく難航しています。犯人の靴とヒップバッグは、当時の日本では販売されていない「スラセンジャー」というスポーツメーカーのもので製造国は韓国でした。犯人のDNAは、父か母、もしくは祖父母が外国人であることを示していたそうですが、このような血統をもつ男が日本国籍である可能性も外国籍である可能性も十分に残されており、犯人像さえ絞り込めていません。つまり数多の証拠があるにもかかわらず、殺害動機にも犯人像にも結びつけることができず、暗礁に乗り上げていると言えます。

この事件を風化させないために、何ができるでしょうか。情報提供という手段はもちろんですが、私たちは凶悪化する犯罪に対する毅然とした社会づくりのために、警察のあり方、地域社会・コミュニティの再構築、脱少子高齢化を考え直す必要がありそうです。もちろん私立探偵の活用促進も必ず役立ちますよ。

 

 

 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

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