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覗き見しか出来ない男3

特捜班=黒字  覗き男=青字


脱衣所を覗いていたことを認めた覗き男。
既に男の表情には余裕が無い。
自分の行動がバレるとは夢にも思っていなかったのだろう。
しかし、今自分の部屋に先程顔を合わせたばかりの男達が来ている。

ゲストハウスの中に入った時、丁度湯上りの女性が談話スペースにいた。
彼女は男に笑顔で「お帰りなさいっ」と暖かく迎える。
声を掛けられた男の顔が一瞬歪む。

部屋に入り、班員の一人が問題の盗撮機材の確認をする間、残りの班員が男に声を掛ける。
「相談者の意向はあくまで盗撮を止めさせることだけです。可哀想だから警察沙汰にまではしたくないと。
他の住人もあなたの盗撮に気付いて目を瞑っていたんですよ。」
「・・・」
何も言えなくなった男に更に畳み掛ける。

「あなたは皆を裏切ったんですよ。そのことを忘れないように・・・」

盗撮機材を探していた班員が、部屋の隅に隠してあったカメラ一式を見つけ出す。

実物もお粗末な工作だ。こんな物素人でも発見できるだろう。
次にデジカメ画像、パソコンの中のデータを確認する。

フォルダを一つづつチェックしたが、盗撮を記録した映像はなかった。

「本当に記録はしてません。見ていただけです。」

男は必死に言い募るが、我々は黙って作業を続ける。
扉の向こうでは談話スペースで談笑する住民の声が聞こえる。
こいつは疑心暗鬼の真っ只中だろう。その中に今回の相談者がいる…と。


「では、ここに盗撮行為は二度としないと一筆頂けますか?」
と、念書を書くように言うと男は黙って書き始め、拇印を押す。

念書の拡大画像はこちら

最後に
「もうこのカメラは使わないと言いましたよね?それを相談者にどう納得させるんですか?」
と問いかけると、

「カメラを壊します…」

と、力無く覗き男は呟き、工具を持ち出しレンズを割り始めた。


証券会社に勤める程の社会的地位にありながら、盗撮行為に走った覗き男。
社内でもそれなりの立場だ。

今回は相談者自身が警察沙汰になることを望まなかったので、
これ以上の追求は打ち切ったが、正直甘いと思う。

 

いつだって被害者は泣いているのだし、事実は消えないのだから

 

特捜班 +α

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