いずれにしても、まだ情報が足りない。
しかし、ここで問題になってくるのが「北海道へ行っていいのは1回だけ」という制約だ。この「制約」のため、現地で聞き込むことすらままならない。
(大阪にいながらにして、北海道の人たちに呼びかける方法……となれば!!)
<K支社長と調査員の会話>
なるほど。それで「探偵ファイル」で記事にした、というわけか。
そうです。親切な読者の方々から、たくさん情報が寄せられてます。北海道の情報も得られるし、経費も削減できる。まさしく一石二鳥! おまけに「探偵ファイル」の記事も書けて一石三鳥です!
なるほど。それは名案だったな。
そうでしょう!? わははははっ!
馬鹿笑いする調査員。K支社長はそれを某スナイパーのような冷たい目で見つめている。
わはは……
はは、はは……
自分が何をしでかしたか、わかっているんだろうな?
(遠い目)
何の見通しもついてない事案を、シリーズ記事にして公開してしまいやがって、いったい、どうやってオチをつけるつもりだ?
探偵ファイルまで巻き込んで「見つかりませんでした」じゃすまないんだぞ。
(ずずっ)
それに、対象者である「もえちゃん」(仮名)が、この記事を見て警戒してしまったらどうするつもりだ?ますます捜索が難しくなるぞ?
おまけに、
こんな画像を使ったものだから、あちこちから「パンツを頭に被るような奴が調査員をやっているのか?」ってクレームが入ってる。
非難轟々だ。どうしてくれる?
( はぁ~お茶がおいしい)
自分で自分の首を絞めてるに等しいじゃないか。何がしたいんだ、おまえは? 自爆か? 自滅か?
どっちでもいいが、こうなった以上、最後まで責任をもってもらうぞ! 「できません」なんて言ってみろ。
給料を全部差し押さえて「スパイラル」に丁稚奉公に出してやるからな!!
(……えらいことになってきた。)
しかし、K支社長の言うとおりでもある。
情報を募って記事にはしたが、もし見つけることができなかったら「『探偵』ファイル」としては非常にカッコ悪い。
しかも、既に別の探偵社が調査し、探せなかった人探しだ。見つけられるとは限らない。
もし、見つからなかったら……
(適当なフィクションを捏造して、オチをつけてしまうか?)
“悪魔の囁き”が聞こえたりもする。
しかし、それでは情報を提供してくれた読者に対してあまりにも義理を欠こう。正直に「見つかりませんでした。ごめんなさいっ!」と謝ったほうがマシだ。
しかし、もし、見つからなかったら……
(ええーいっ!)
(要するに「もえちゃん」見つければいいのだ!)
(見つけさえすれば、全てきれいに丸く収まる!)
(っていうか、この状況を何とかするには、もうそれしかない!!)
手がかりの検証を続けよう。
問題になっているのは「郵便局の消印」と「宅急便の送り状」の食い違い。
郵便局は「岩見沢市」
宅急便は「札幌市東区○○町」
二択だ。「もえちゃん」はどちらにいるのか?
それから、もうひとつの手がかりである「制服」
こちらについては、読者の皆さんから多数の情報を頂いた。
(親切な読者の皆様。誠にありがとうございます。)
寄せられた情報は2種類。
割合としては「情報A」が9割。「情報B」が1割といったところ。
情報A:「あの制服は札幌市内の女子高『○○学園』のものです。
制服の襟につけられた星印が特徴です。まちがいありません」
情報B:「あれは岩見沢市内の中学校「○○中学校」のものです。
記憶は曖昧ですが、まちがいないと思います」
こちらも二択……どうしよう?
→続く
※次回掲載予定は全くの未定
※この記事では皆様の推理、情報提供、感想などを募集しています。
大阪・九坪