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動画配信者たちの料理企画にスタジオを貸したら大変な事態に!公的機関が動く

昨年12月、動画配信者たちが料理の腕を競い合う「第2回料理バトル」という企画が東京都渋谷区のレンタルスタジオにて行われ、TwitCasting(ツイキャス)でライブ配信された。その配信を閲覧した人物から、当サイトに情報が寄せられた。配信内容の各所に、衛生面や安全面で、そして法的に問題と思われる場面があったというのだ。

 

 

情報提供者が挙げた論点の一つは、配信者たちが作った料理を大勢の来場者に提供したことだ。スタジオにて作られた飲食物が提供される場合、利用者に「食品衛生責任者」の資格保持者が含まれていることを利用条件として明記しているスタジオも存在する。また、スタジオ自体が飲食店営業許可の登録をしていることもある。

 

配信者たちが作った料理が来場者に提供される場面。

 

本件は、大学のサークルや企業等の関係者が大人数でバーベキューをするというような事例とは明らかに異なると、情報提供者は述べる。スタジオを運営する企業は営利目的でスペースを貸し出しているゆえに、衛生面の管理に関する社会的な責任があるというのだ。そのように情報提供者は考えて、本件に関する情報を渋谷区保健所に伝えた。

その結果、保健所による調査が行われた。そして、このたび調査結果の報告が保健所から届いた。保健所では、当該の配信が行われたスタジオへの聞き取り調査を1月に実施した。スタジオの代表者は、「来場した観客に料理を提供した番組撮影があったことを、撮影終了後に報告を受けた」と回答したという。

つまり、料理が来場者に提供される企画であることを、スタジオ側は事前に把握していなかったというのだ。スタジオ開設以来、このような事例は初めてだったという。テレビ局や出版社が頻繁に利用する有名なスタジオだが、利用者は撮影を主な目的としているため、スタジオ側では今回のような事態は想定外だったようだ。

 

このたびの企画が行われたスタジオ。

 

それゆえ、このスタジオでは飲食店営業許可を取得していなかった。一方、本件のように飲食物の提供を含む撮影では、飲食店営業許可が必須であると保健所は判断した。今後、スタジオ内での飲食物の取り扱いがある場合には、「事前に保健所に相談して確認をとる必要があることを、スタジオ側は利用者に案内するように」と保健所は指導した。

情報提供者が挙げたもう一つの論点は、火災事故等への対応だ。今回の企画では、料理を焦がしてしまったことで、スタジオ内に煙が充満した。スタジオの管理者が慌てて窓を開けて排煙する様子も映っている。実況を担当した人物は、「火災報知器、鳴っちゃうんじゃないの」、「火災レベルの煙」などと述べていた。

 

スタジオ内に煙が充満するきっかけとなった場面。

 

窓を開けて排煙を試みる場面。

 

ネット上に公開されている資料によると、スタジオを運営する企業の従業員数は、2015年の時点で3名だ。一方、今回の企画では大勢の配信者や来場者がスタジオに集まっていた。不測の事態が発生した場合、少数のスタッフで大人数を無事に避難誘導したり、適切な災害防止対策をとったりできるのかと、情報提供者は疑問視する。

情報提供者は、昨年の時点で渋谷消防署に本件に関する情報を送信した。すると、消防署の職員がスタジオへ赴き、現地の実態を確認したという報告のメールが担当者から届いた。調査結果の具体的な内容は、当該のメールには記されていなかった。そこで、当サイトでは消防署に連絡を取り、本件についての判断を尋ねた。

担当者によると、調査を行ったことは間違いないが、その詳細は話せないという。「防火管理者」が必要か否か、消火訓練等の実施の義務の有無は、施設の面積や収容人数によって異なるという。消防法が定めるこれらの条件を満たしているかどうかという点で可否を判断するのであり、施設の従業員数は判断基準には含まれていないとのことだ。

いずれにせよ、今回の件は公的機関による調査が行われるという事態を招いた。動画配信者たちが社会の様々な場面で活動するようになるに伴い、従来は想定されていなかった問題が今後も次々に発生するかもしれない。施設を貸し出す側は利用者の目的を、利用者は使用に関わる諸々の条件を、あらかじめ十分に確認しておくことが重要だろう。

 

高橋 

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