先頃、巣鴨地蔵通り商店街(東京都豊島区)に非難の声が殺到した。コロナウイルス感染防止対策の一環で外出や営業の自粛が要請されて以降も縁日を継続し、「三密」状態になっていると報じられたことが発端だ。その結果、縁日は中止となった。
その後、現地の状況はどうなったのか調べてほしいという依頼が、読者から寄せられた。そこで、このたび当サイトでは商店街を訪れた。普段は各地から人々が押し寄せる場所だが、営業自粛中の店が多数ということもあり、人通りは思いのほか少なかった。
一方、新たな問題も指摘されていることが、現地取材で判明した。それは、商店街でジョギングをしている人々が多いということだ。昨今は、マスクを着けずにジョギングをすることの是非も問われているが、それ以上に問題と思われるのは、商店街の人通りが少ないのをよいことに、多くの人々がかなりの速度で走っているという点だ。
しかも、周囲の風景を見ながら走っている人が目立つ。「脇見運転」ならぬ「脇見走行」である。風景に気をとられて不注意になり、前方から走ってきた自転車に接触しそうになって、「危ないだろ!」と運転手に怒鳴られている人も見かけた。足腰の弱っている高齢者に接触したら、大けがを負わせる危険性もある。
飲食店で話を聞いたところ、外出自粛が要請されている状況で、「昼間に商店街でジョギングをする人が増えました」という答えが返ってきた。その危険性について尋ねると、「今後もこのような状態が続くならば、ジョギングの自粛願いを出すべきだという声もあります」とのことだった。
縁日の中止や営業自粛の結果、確かに商店街の人通りは少なくなった。だが、そのことが皮肉にもジョギング人口の増加をもたらした可能性も否めない。縁日の中止以降、この商店街の話題がメディアで扱われる機会は減ったが、全面的な「問題解決」には至っていないというのが実態だろう。