品薄状態が続いていたマスクを、店頭で見かけることが多くなってきた。このような状況で、「マスクの適正価格を知らないと、騙されて不当に高い値段で売りつけられる」と言われる。
だが、「このくらいが妥当」と自分が勝手に想定した価格を、根拠もなく「適正価格」と称する人々がいる。そのような人物がTwitterで広めた情報が原因となって、大手企業が風評被害を受けていたことが、読者からの情報提供で発覚した。
マスクが品薄状態だった今年2月、ある女性はイオンでマスクが売られているのを発見した。興和の「三次元マスク」50枚入りが、税別で2470円。女性が「これは高すぎる」と主張すると、賛同する声が相次いだ。
一方で、「高品質のマスクであり、むしろ安い」という指摘も続出。だが、何回指摘されても、女性はそうした声には耳を傾けず、異論を唱えた人々を「アンチ」と称して挑発した。さらに、「三次元マスク」をイオンの自社製品と勘違いしている様子で、「ボッタクリ価格」と非難した。
この製品の価格を調べてみると、ビックカメラ、ヨドバシカメラ、アスクルでは、オープン価格で2000円くらいだ。かつて定価が設定されていた時期には、3700円程度だったようだ。女性が見かけたイオンでの販売価格は、極端に高いとは言いがたい。イオンに尋ねたところ、上記の件は初耳だったという。「不当な値段で販売しているという事実はありません」と応対した担当者は述べた。
ちなみに、女性がイオンを批判した時期のAmazonの状況を調べてみると、「三次元マスク」も盛んに転売されており、最低価格は1万円以上だった。これは明らかに「不当価格」である。
2020年2月時点でのAmazonの販売価格
もちろん、「適正価格」は、原材料の価格高騰などに伴って変化する可能性がある。ある商品が本当に高いかどうかを見極めるには、十分な知識と調査が必要だ。