駒澤大学の往路アンカー。何度も、何度も転んでいるのに、その度に手をついて起き上がる。他の大学にどんどん追い越される。立っているだけでも奇跡のゴール前。彼は気を失いそうになっても、ゴールに倒れ込んだ。
明日の復路を走る仲間のためなのか、自分自身のためなのか。
私は企画で同じ区間を走ったことがある。テレビで見るよりどれだけ過酷な登り坂なのかを体験した。
『こんな坂無理だ。ほとんど直角だ!』と叫んだ。
実際は直角じゃないが、体がそう感じた。永遠に続く拷問に思えた。
駒大の彼は異変が起きたのを足のせいにしなかった。転倒しても足を一度も触ることも無かった。
「言い訳をしない。」
この年になって大学生に教えられる。
今、復路がスタートした。駒澤大学の大逆転はあるかも知れない。
ただ、復路の選手5人の悲壮感が心配だ。期待に押し潰されるな。
君たちがそこに立っていられることが、それだけで奇跡だ。
BOZZ (渡邉文男)