コロナ禍による不況が長引き、相次ぐ閉業に伴う空き物件が各地に目立つ。そんな状況を悪用し、虚偽の情報を広めて人々の対立を煽る悪質なブログが存在するという。ブログの内容を精査し、その真偽の検証を試みた。
2022年2月の記事には、閉業によって空き物件となった建物の入口付近を撮影した画像が並んでいる。深夜になると若者たちが敷地内に侵入し、マスクも着けずに騒いだり飲み食いしたりしているとのことで、批判を展開した。ところが、それらの情報は事実に反するようだ。また、若者たちを撮影した画像も掲載されていない。
情報提供者は、月に1~2回は当該の建物の前を通る。それゆえ、問題のブログの内容が虚偽であることに気づいた。「(ブログの記事では)昨年の秋あたりに撮影した画像を使っているのではないかと思います」。現在は空き物件ではなく、既に別の店舗が入居し、営業しているというのだ。
当サイトでは、このたび現地を訪問。以下に掲載する画像では、ブログ内の画像になるべく近い位置と角度で現在の様子を撮影してみたので、見比べてみてほしい。周辺で話を聞いたが、深夜に若者たちが徘徊しているなどという証言は得られなかった。ブログには、その他にもコロナ関連の真偽不明な情報が記されていたが、具体的な証拠や出典は見当たらない。
ブログを更新している人物の素性は不明だ。そこで、ブログサービスを提供している企業にメールフォームを通じて連絡を取った。問題視されている点や、当サイトにて虚偽と確認できた事柄を中心に伝えた。担当者から届いた返信によると、詳細を確認し対応を検討するが、結果に関しては回答できないとのことだった。
その後、記事の多くが削除された模様で、現時点では閲覧できなくなっている。虚偽の情報を広めた意図は定かではないが、そうした手法で人々の注目や共感を集めようとすること自体、迷惑かつ愚かな行為だ。