「牛女」をご存じですか?
兵庫県は六甲山周辺に出るとウワサされている妖怪です。頭部は牛、体は女性のいわば女性版ミノタウロス的な見た目をしているらしいのですが、、。
牛女が出るとされる兵庫県西宮市の六甲山に、寺院を構える鷲林寺は牛女出現地であると噂され、昭和50年代後半頃から夜間に肝試しに訪れる若者などが増加していったといいます。
原因は某週刊誌にて「鷲林寺に牛女が出る」というような内容が掲載されたことが発端でした。ではなぜそのような記事が出来上がったのか。これには歴史と噂話と人の持つ好奇心が関わってきます。
1.明智光秀よりも前に信長に謀反を起こした男
かの織田信長の家臣に兵庫県南西部を治める「荒木村重」という武将がいました。
村重は謀略が上手く、信長に仕える以前に仕えていた別の武将を裏切り、信長へと仕えていました。しかし、突如として信長に謀反を起こし、信長と徹底的にやり合うこととなります。これが「有岡城の戦い」として後世に伝聞していくこととなるのですが、この有岡城の戦いは兵庫県南西部一帯で行われ六甲山にも信長の手が迫って来たのです。この時戦火から逃げた女性が鷲林寺の祠もしくは洞窟へと逃げ込みその後死亡したという言い伝えがあったのです。
2.戦時中の噂話
時は過ぎ、太平洋戦争の日本。芦屋・西宮市一帯が空襲で壊滅したとき、ある牛の屠殺場(とさつじょう)も焼失しました。そこには座敷牢(ざしきろう)があり、中には牛頭の娘が閉じ込められていたという噂があったのですが、その焼け跡に“牛女”が現れたというのです。
3.件(くだん)という妖怪
牛女とは正反対の見た目をした、頭は人間、体は牛の妖怪がいます。
この妖怪は良い予言を人々に伝え、数日のうちに死ぬというなんとも親切で切ない妖怪です。この妖怪が牛女の話の骨格になったものと思われます。
4.鷲林寺境内にある荒神の祠
境内には荒神の祠があり、その荒神様の眷属として‘牛’の像を祭っています。この’牛’は特段、鷲林寺だけにあるものという訳ではなく、全国の荒神様のそばに祭ってあるものだそうです。
、、、、、、という方々の要因が重なり、誇大解釈した週刊誌が書き立てて牛女の出現地として鷲林寺を取り上げたというのが事の顛末でした。連日夜中に肝試しで訪れる若者に困った住職は週刊誌に苦情を入れるも平謝り。取り上げられてしまった以上取り消すことはできません。そこで住職はある秘策を講じます。
「牛女は引っ越しました。」
斬新かつシンプルな文言の立て看板を祠の前に建てたのです。一見効果のなさそうな看板ですが、牛女目当てで騒ぎに来る人は減り、寺は静かになりました。
しかし、ここで終わりではなく、噂が落ち着いたのもつかの間。
今度はテレビに取り上げられてしまいます。
またもや増える迷惑な輩。
テレビの放映から十数年経ち、現在では牛女目当てで訪問する人間は減ったようです。いまだにインターネットには牛女伝説の地として鷲林寺を取り上げているサイトがありますが、、、、、。
、、、、、、、、まず牛女ってなんじゃい!!!!
見た目地味くないか!!????!!!
ドンキに売ってる馬のマスク買った中高生じゃないんだから、、、
妖怪ならもう少しインパクト出せよ!!!!
こういうのとか
こういうのとか
せめて、こう、ひと工夫ないもんかね?!?!?!?!
結論、鷲林寺に牛女はいません。
肝試しではなくちゃんとお参りしましょう。静かで綺麗で素敵なところでした。
NAKANO
ガルエージェンシー大阪本部
探偵歴6年目。映画に憧れ過ぎて探偵になってしまった男。雑多な知識で調査をこなす現役探偵(0120-000-783)
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