写真撮影をする鉄道ファンは、「撮り鉄」と呼ばれている。マナー違反の行動をとったり、各種の迷惑行為に及んだりする人々が一部に存在することが、これまで繰り返し問題視されてきた。最近では、大阪駅に集まった人々の危険行為を、駅員が厳しく注意する様子を撮影した動画が出回って、話題になった。
東京都台東区の鶯谷駅も、撮り鉄が集まる撮影スポットの一つだ。山手線と京浜東北線が停車するホームが、寝台列車のラストランなどを撮影するための絶好の場所だからだ。それらの撮影を目的として駅のホームに撮り鉄が押し寄せたことが、これまでに何度もあった。地元の人々は、彼らを必ずしも歓迎していないようだ。
地元住民A氏の案内で、現地を訪れた。ホームの先端付近でA氏は説明する、「このあたりに、撮り鉄の人たちがズラーッと並んで、撮影目的の列車が今すぐ来るわけでもないのに、カメラを構えてるんですね。電車から乗客が降りてきても、カメラを向けたまま。電車から出てきた人たちを邪魔に思ったのか、繰り返し舌打ちしてた撮り鉄もいます」。
降車した瞬間に多くのカメラが向けられている光景は、気味が悪かったという。「自分のことを写しているわけではないかもしれないけど、もし写っていたらと思うと怖いし、気持ち悪い」。電車から乗客が降りてきた時くらいはカメラを下に向けるといった、最低限のマナーは身につけてほしいと、A氏は憤る。
寝台列車の撮影を目的に、ホームの先端に撮り鉄が押し寄せた際には、多くの駅員が対応することになったという。やがて、その近辺にロープが張られるようになり、現在は柵が設けられている。駅の近辺の街中でも、列車の撮影を目的に望遠レンズ付きのカメラを構える人々が現れたそうだ。
A氏のように、撮影行為を不快に思う人々もいる。そうした人々への配慮なしには、地元住民との「共存」は難しそうだ。
※モザイク加工は当サイトによるもの