先日、埼玉県が全国で初めてエスカレーターでの歩行を条例で禁止したことが大きな話題になった。正式名称は「埼玉県エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例」だ(関連記事 1 2)。
このたび、「エスカレーターでの歩行よりも危険な行為があるが、ほとんど認知されていない」という問題提起が読者から寄せられた。それは、エスカレーターで1段上のステップに片足を乗せる行為だ。文章だけではイメージが伝わりにくいかもしれないので、情報提供者が撮影した画像を掲載する。
情報提供者は自らの体験に基づいて、その危険性を主張する。エスカレーターで目の前の男性が、1段上のステップに片足を乗せていたのだが、突然バランスを崩し、ステップから落下しそうになった。男性はどうにか落下せずに踏みとどまったが、すぐ後ろに立っていた情報提供者は青ざめたという。
「もしあの人が落下していたら、私も巻き添えになって転落していたかもしれません」。その後、気をつけて観察していると、1段どころか2段上のステップに片足を乗せる人までいることが判明。こうした行為に及ぶのは、男性が多いという。女性の場合、スカートやワイドパンツでは1段上のステップに片足を乗せにくいのではないかと、情報提供者は推測する。
各種の公共施設や公共交通機関等に尋ねてみたところ、いずれもエスカレーター内やその付近に、利用マナーについて掲示している模様だ。だが、片足を1段上のステップに乗せることの危険性については、現時点までに注意を呼びかけているという事例は見当たらなかった。
危険な体勢でエスカレーターに乗らないように呼びかけているので、それが該当するのではないかと述べた担当者もいる。一方で、「いただいたご指摘に基づいて状況を見守り、対応を検討します」という企業もあった。
先述の歩行禁止条例も罰則はなく、注意喚起の徹底と各自の心がけに頼るしかないというのが実情だ。