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今年の日本経済と株価はどうなる?

 読者の皆さん、今年もよろしくお願い致します。

 最初に一言。読者の方から、「ラインで岸先生の株式投資勉強しています。ラインの岸先生は本物でしょうか?」という質問をいただきましたが、私はラインで株式投資を教えるようなことは一切しません。私(や他の経済評論家)の写真を勝手に使った投資詐欺が横行しているので、絶対に引っかからないようにしてください。

 さて、今年は新年早々に北陸での地震や羽田空港での事故が起き、波乱の年になる予兆のように感じられますが、今年の日本の景気は、そして株価はどうなるでしょうか。賃上げと物価上昇の好循環で日本経済は復活する、日経平均は4万円を超える、という明るい予測が多いですが、これらは当たるでしょうか。

 私は個人的には、新春は明るいニュースが受けるからしょうがないと思いつつも、ちょっと楽観的過ぎると思っています。

 まず日本経済についていえば、今年も物価上昇が続くし、おそらく黒田以前に先祖返りした日銀は必ずマイナス金利政策を解除すると思います。かつ、世界を見渡すと、中国・欧州経済は悪いのが続く上に、米国経済も今年はさすがに成長率が低下するはずです。つまり、物価と金利が上昇し外需が伸び悩むという、経済の観点からはマイナス要因の方が目立つのです。

 それらを超えて日本経済が復活できるかどうかは、今年の春闘での賃上げ率、特に中小企業の賃上げがどの程度になるかにかかっています。大企業は大幅な賃上げをするでしょうが、中小企業が昨年の3%を大幅に上回る賃上げをできるかどうか次第だと思います。それなしに好循環は生まれませんが、個人的にはなかなか厳しいのではと心配しています。

 株価については、新NISAが始まったことで、確かに株式の需給要因からは株価が上がりやすい環境になるのは間違いありません。

 しかし、昨年の株高は、多くの輸出企業については円安が、また多くの内需企業については経営者が賃上げや下請け企業への支払いをケチって利益を増やしたことも要因として大きいと考えられるので、マクロ経済要因も加味して考えると、日経平均が持続的に上昇を続けるというのは考えにくいと思います。

従って、特に新NISAで今年から新たに投資を始められる方も多いと思いますが、今年は後半になると円高になる可能性が高い、実質賃金が上昇に転じて消費が盛り上がるかは春闘の結果次第、日本が影響を受けやすい米国の経済や株価は今がピーク、といった点に注意して投資してほしいと思います。

 

岸 博幸(きし ひろゆき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。

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