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そろそろ日経平均の上昇もおしまい?

 日経平均があっさりと過去最高値を更新し、4万円も超えました。評論家などの中には、日本の株価はまだまだ上昇を続けると予測する人もいますが、僕は、そろそろ要注意のタイミングに入ったのではないかと思います。

 今年の年初の段階で日経平均は3万3,000円台だったことを考えると、僅か2ヶ月で7,000円、つまり20%以上も株価が上昇したことになります。経済が絶好調の米国の株価と比べてもすごい上昇ペースです。しかも、日経平均を大きく押し上げたのは、ごく少数の半導体関連・輸出関連の大型株の株価上昇であり、上場企業の株価が満遍なく上昇している訳ではありません。要は、ちょっと特殊な上昇の仕方をしている訳です。

 その原因は何かを探ると、中国の金融市場が低迷する中で、中国の投資マネーが大挙して日本市場に押し寄せている影響も大きいように見受けられます。

香港のヘッジファンドの知り合い曰く、中国の投資家はいわゆるモメンタム投資が得意で、半導体ブームと円安で大型株の株価が上昇を続けている限り、ガンガン投資を続けてくるようです。だからこそ、短期間で一部の大型株の株価が異常なまでに上昇を続けた面もあるのではないでしょうか。

そして、中国の投資家の特徴として、上昇が終わって下降に転じたら一気に売りに転じて利益を確定してくるようです。それでは、いつ頃そのタイミングが来るのでしょうか。個人的には、今月中旬が要注意ではないかと思います。

というのは、日銀が3/18, 19の政策決定会合でマイナス金利を解除する可能性が高いからです。実際にそうなったら、金融市場では株安と円高が進むはずで、かつ大きな政策変更があると最初はオーバーシュート(過剰反応)が起きがちであることを考えると、それがきっかけとなって中国人投資家が一気に売りに転じてもおかしくないのではないかと思います。

 ちなみに、評論家の間では日銀は3月ではなく4月にマイナス金利解除を予想する声が多いですが、僕は3月の可能性の方が断然高いと思います。その理由は簡単で、日銀は政治の動向や反応に非常に敏感だからです。4月の日銀政策決定会合の予定は4/25, 26ですが、その3日後の4/28には岸田政権の命運を分けかねない3つの衆院補欠選挙があります。大幅な株安を招きかねないマイナス金利解除を選挙の2日前に決断・実行できるほど、日銀が度胸あるとはとても思えません。

 以上から、金融投資をされている方は、そろそろご注意いただいた方が良いのではないかと思います。もちろん、中国人投資家が売りに転じて大型株の株価がある程度下がったら、欧米のファンドが買いに入るでしょうから、下値が大きく下がることもないとは思いますが。ただ、メディアや評論家がよく言うような、日本企業の強さが世界的に再評価されているので日経平均は上昇を続けるみたいな論調は、あまり信じ過ぎない方が良い気がします。

 

岸 博幸(きし ひろゆき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。

 

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