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マクドナルドのローストビーフバーガー、「成型肉」問題の核心に迫る!

先頃、マクドナルドの「東京ローストビーフバーガー」に関する様々な憶測が飛び交い、話題になった。本件は一部のメディアで報じられたが、いくつも不明瞭な点があるため、より詳細を調べてほしいとの依頼が、読者から寄せられた。

騒動の初期に話題になったのは、マクドナルドの公式サイトの「アレルギー情報」欄の掲載内容だった。豚肉がローストビーフに使用されていると書かれていたため、「『ローストビーフ』と称して、豚肉を使用しているのではないか」などと噂が広まった。すると、豚肉は「調味液として使用」と公式サイトに加筆された。

 

 

 

具に使用されている肉が、通常のローストビーフとは見た目が大きく異なるのではないかという意見も相次いだ。この点について、メディアの取材(J-CASTの8月17日の記事)に対する日本マクドナルドの回答が注目された。「提供する肉の形や量を均一にするため、牛肉を重ね合せて形を整えスライスしている」というのだ。

 

 

 

通常、ローストビーフは「特定加熱食肉製品」であり、製造過程で肉の中心部まで加熱して殺菌しなければならない。過去には、結着剤を使用した成型肉を「ローストビーフ」と称して販売した業者が、食品衛生法に違反すると見なされた。だが、ローストビーフバーガーに使用する肉はそうしたものには該当しないと、日本マクドナルドは回答している。

 

 

当サイトでは、厚生労働省の食品監視安全課に尋ねた。マクドナルドが「ローストビーフ」と呼んでいる肉が特定加熱食肉製品ではないならば、加熱によってきちんと火が通っている限り、食品衛生法上の問題はないという。その肉を「ローストビーフ」と称することの可否についての判断は、消費者庁の管轄であるとのことだった。

そもそも、ローストビーフバーガーの肉は一体どのようなものなのか。このたび日本マクドナルドのPR部に取材を申し込み、回答を得た。担当者曰く、「牛肉を重ね合せて形を整え、中まで熱を通した『完全加熱食品』であり、食品衛生法の加熱食肉製品の製造基準と成分規格に適合しています」。

公式サイトには、ローストビーフに「ゼラチン」を使用と書かれている。この点についても、「肉をつなぎ合わせる時に使用しているのか」といった各種の憶測が飛び交った。担当者によると、ゼラチンはローストビーフの製造時に、原材料の一部として使用しているとのこと。「安定した品質を維持するためのものです」という。

同社は「ローストビーフといっても様々な解釈があり、当社では製品化する際に調査、確認の上でこの商品名を決めました」と、J-CASTの取材に回答した。この論点について改めて尋ねると、ローストビーフの表示に明確な定義はないと、担当者は説明。「国内外の様々な事例を参考に第三者機関にも相談しながら、決定しました」という。

明確な定義がないならば、問題はないと言えるのか。消費者庁の食品表示対策課に、この点を尋ねた。景品表示法では、各製品の定義を与えたり、表示義務を課したりしているわけではない。個別の案件については、当該商品とその広告内容を調査した上で、可否を判断している。そのため、現時点で未調査の本件の可否については、回答しがたいという。

消費者に著しく誤認される表示である場合、つまり、消費者の一般的な期待と実際の商品が大きく乖離している場合、景品表示法の「不当表示」に該当すると、担当者は説明した。「ステーキ」というと消費者は一般的に一枚肉を連想するが、実際には成型肉であることを表示していなかったために、景品表示法に抵触すると判断された事例が、過去にあったそうだ。

従来の報道では曖昧なままだった、マクドナルドが「ローストビーフ」と称しているものがどのような肉であるのかということは、以上の取材結果によって明らかになった。だが、食品衛生法上の問題はクリアしているとしても、この肉を「ローストビーフ」と称することの是非に関しては、意見が分かれるかもしれない。

 

高橋 

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