ゲーム「アズールレーン」の「原爆少女」キャラ騒動、意外な実態が判明!


「世界中の艦船を可愛い少女に擬人化した艦船を操作するシューティングRPG」と謳われたアプリ・ゲーム「アズールレーン」(Yostar株式会社)に関する情報が、読者から当サイトに寄せられた。このゲームには、かつて長崎に投下された原子爆弾「ファットマン」が登場するというのだ。


(1)問題の経緯

当初に指摘されたのは、主に以下の3点だった。第一に、ゲームの中国版にはファットマンのオブジェがあるということである。第二に、日本語版で「ボムチェア」という名称のアイテムが、中国版では「原子爆弾の椅子」になっていることだ。第三に、「インディアナポリス」というキャラクターのイラストに、ファットマンが描かれていることである。

 

 

 

これらに対して批判的な意見が提起されると、ボムチェアは「ギリシャチェア」という名称に変更された。また、インディアナポリスのイラストの爆弾に描かれていた「ハザードシンボル(放射能標識)」が、猫のイラストに変更された。だが、これらの変更についてYostarからの説明や告知は現時点までになされていない。

 

 


(2)情報提供者の指摘

以上の点について、情報提供者は問題視しているという。また、中国版では上記の変更はなされていないと指摘する。さらに、日本国内の各種の作品や企業がアズールレーンとコラボレーションしていること、一連の企画に日本の声優や作曲家が参加していることなども、大きな問題ではないかと主張する。

「『多数の日本企業が原爆を気にせず参加しているのなら、もう原爆はどうでもいい問題なんだな』と思われても仕方がないかもしれません。実際に海外サイトで『アズレン人気は日本人が原爆を忘れた証拠だ』という書き込みを見たことがあります」という。コラボ企画等に関して各社に問い合わせたが、回答は得られなかったそうだ。


(3)「当事者」の認識

一方、原爆投下による被害を直接に受けた当事者たちは、本件をどのように認識しているのだろうか。当サイトでは、長崎市の原爆被爆対策部平和推進課に尋ねた。本件に関しては、人々からメールで情報が寄せられて知ったという。だが、内容を確認した結果、ゲーム中で扱われているものが本当に原爆なのか、確信が持てなかったと、担当者は述べた。

そうした理由で、現時点までに何らかの対応は行っていなく、今後もその予定はないそうだ。日本原水爆被害者団体協議会にも、本件についての大量のメールが寄せられているという。だが、協議会の関係者は誰もゲームをやらないこと、ネット事情に詳しくないこともあり、この件について具体的な対応はとっていなく、今後も予定していないとのことだ。

 


(4)まとめ

先述の情報提供者のように、ゲームのユーザーの中には、本件を重大な問題として認識し、抗議行動を展開している人々が存在する。他方で、長崎市や被爆者団体は、本件にはあまり関心を示していないという実態が明らかになった。この「温度差」を、どのように理解すべきだろうか。

被曝した当人やその子孫ではない人々が原爆に関する表現の問題を語ることを、疑問視する声もある。だが、情報提供者も指摘するように、原爆の投下という歴史的事実は、日本という国家全体に関わる共通の「記憶」であるとも言える。そのことにゲームの開発側が気づいていることは、日本版と中国版が異なることからも明らかだろう。

さらに、この騒動の影響は、各方面へと波及していく可能性もありそうだ。これまでに、各種の軍事兵器を擬人化した作品が相次いでヒットしている。それらの作品で扱われている兵器にも、一定の「犠牲者」が存在する。そうであるならば、軍事兵器の擬人化ということ自体が不適切なのか、あるいは表現の自由として許容されるべきなのか。


高橋