大災害に遭遇した場合、どう生き延びるか。冒頭になんとしても伝えておきたいことがある。それは東日本大震災以降、大きな問題となっている被災地での犯罪である。多くの犯罪は、避難所に避難している間に起こる。自宅家屋から巨額の金品が盗まれるケース、無防備な状態で女性が男性にレイプされるケース、その他にも、暴力事件、詐欺、不正請求、略奪など多種多様。いわば「火事場泥棒」に、我々は備えなければならない。本題に入る前に、大災害に遭遇した場合の備えとして、身を守るための「防犯グッズ」を準備しておくことを強くおすすめしたいと考えている。
さて、本題に入ろう。今日の本題は大災害後の72時間をどう生き延びるかである。
地震発生後「72時間」はインフラの混乱や通信障害が発生することから流通や緊急車両が稼働しないと考えて良い。だから地域に物資や救助の手が及ぶまでの72時間程度を、なんとしても生き延びることが最優先課題となる(この間は我々探偵も動けない)。
できるだけ早く、72時間を生き延びるための備蓄の準備に取り掛かろうではないか。まずは食料と水の備蓄。ひとりの1日あたりの摂取カロリーを2,000キロカロリーとして、72時間分/3人家族の場合を目安に計算しているのでそれぞれ自分に合った量を調整してもらえればと思う。
「大震災用に備蓄しておくべき食料と水」
種 類 |
量 |
備 考 |
インスタントご飯 |
27パック |
ひとり1日3パック |
乾パンなどのビスケット類 |
6パック |
ひとり3日で2パック |
パン(缶タイプ) |
9缶 |
ひとり1日1缶 |
缶詰 |
9缶/種類 |
ツナ、鶏肉、豆、野菜、フルーツなど |
ドライフルーツ |
適量 |
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スナック |
適量 |
|
乾燥野菜 |
適量 |
|
ナッツ類 |
適量 |
|
調味料 |
適量 |
塩、砂糖、醤油、マヨネーズ |
水 |
27リットル |
ひとり1日3リットル(飲料用・調理用) |
「あれば安心」なもの
種 類 |
例 |
レトルト食品 |
カレー、シチュー、お粥など |
乾物 |
カップラーメン、乾燥スープ、粉末スープ |
栄養補助食品 |
エネルギーバー、プロテインバー |
「あればさらに安心」なもの
種 類 |
量 |
備 考 |
カセットコンロ |
1台 |
カセットガス最低3本 |
固形燃料コンロ |
1台 |
固形燃料30g 20個 |
ポータブルストーブ |
1台 |
固形燃料タイプ |
最後に将来、大災害に巻き込まれる確率を見てから締めくくろう。各専門機関が、「30年間に首都直下型地震が発生する確率を70%程度」と明示している。もうすぐこれが公表された2020年から約5年が経とうとしているから、実質的には、あと25年間のうちに首都直下型地震が起こる確率は少し減る。計算してみると、
P25 years=1−(1−0.034)25
P25 years≈0.633
となり、今後25年間で首都直下型地震が発生する確率は63%程度ということになる。とはいえ寿命が100年に到達する時代が到来するわけで、今70歳代以下の人は首都直下型地震に高い確率で遭遇すると考えて良い。本当は、あちこち外出している場合も考えて、場所ごとに対策を立てておくことは理想だが、実際は首都直下型地震の瞬間にどこにいるかは分からない。「出たとこ勝負」である。その一方で自宅ならば完璧に備えを固めておくことができる。たとえ外にいても「自宅にさえ戻れば生き延びられる」というのは安心感であり生きる勇気も湧いてくるであろう。だから自宅だけは完璧に備えておきたい。
堺 浄。最近そんなテーマで講演してたりする。
女探偵 堺浄(さかい・きよら)
政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。