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常軌を逸した高額で日本未入荷商品を販売する業者、本当に問題はないのか?

高すぎる価格設定

海外ブランドの商品を販売する業者(以下、「業者A」と記載)の設定している価格があまりにも高すぎるとの情報が、当サイトに寄せられた。業者Aは、ネット上の複数のサイトで海外ブランドの商品を輸入・販売している。情報提供者は、業者Aのサイトにて日本で未発売のベルトが販売されているのを見つけて、購入しようと考えた。

ところが、商品価格があまりにも高すぎるというのだ。情報提供者はそのブランドの商品を愛用しており、国内で何度も購入している。そのため、おおよその価格の見当はつくという。価格設定に疑問を感じた情報提供者は、当該サイトに掲載されていたベルトの画像を、Googleの画像検索で調べてみた。

すると、その画像と全く同じものが、海外の大手通販業者(以下、「業者B」と記載)のサイトにて見つかった。業者Aによる販売価格は、10万8800円。それに対し、業者Bの販売価格は関税等込みで、およそ半額の5万4758円だった。しかも、情報提供者が見た時点でセール品として値引きされて、3万9426円になっていた。

 

業者Aによるベルトの販売価格(画像をクリックで拡大表示)

 

業者Bによるベルトの販売価格(画像をクリックで拡大表示)

 

高額販売のカラクリ

改めて業者Aのサイトの説明をよく読んでみると、商品は海外からの「取り寄せ」であると書かれていた。つまり、業者Aは客からの注文があると、業者Bにて商品を購入して、購入時の倍近い価格で客に売っていた模様だ。その証拠に、業者Aで購入可能な「在庫」として表示されるベルトのサイズは、業者Bの在庫と完全に一致する。

業者Aで売られていた同じブランドのスニーカーも、やはり業者Bから仕入れているようだ。業者Aでの販売価格は、19万800円。一方、業者Bでは8万8032円で売られており、セール品として5万7221円に値引きされていた。このスニーカーに関しても、業者Aが掲載している画像及び購入可能なサイズは、業者Bと同一だった。

 

業者Aによるスニーカーの販売価格(画像をクリックで拡大表示)

 

業者Bによるスニーカーの販売価格(画像をクリックで拡大表示)

 

情報提供者は、業者Bを通じて無事にベルトを購入することができた。「もしこのベルトが国内にも流通していたとしたら、(業者Bよりも)もう少し高い値段になっていたはずなので、いい買い物をしたと思っています」。一方、業者Aの価格設定を疑わずに購入していたら、大損することになっていただろうと言う。

 

情報提供者が業者Bから購入したベルトの実物


公的機関の判断は

情報提供者は本件を消費生活相談の窓口に問い合わせたが、「特に問題はない」との回答だった。そもそも、業者Aで実際に購入したわけではないのだから、違法性の有無に関係なく、「被害」を主張できる立場にはないはずだと言われたそうだ。だが、それでも納得しがたいとの思いから、当サイトに相談することにしたという。

当サイトでは、公正取引委員会に本件を尋ねた。業者Aは「輸入代行」に相当する販売形態だが、その価格設定はどのくらいが妥当なのかということについて、法律上の規定は存在しないという。業者は自由に価格を設定できるのであり、上乗せ価格(手数料等)がどのくらいかということを消費者に開示する義務もないとのことだ。


賢く購入するには

続いて、当サイトの読者でもあるアパレル業界の関係者に話を聞いた。業者Aの価格設定は、他と比べて高すぎるように思えるという。ただし、常軌を逸した高額な価格設定は当該業者だけでなく、同様の手口が横行しているようだ。輸入を依頼する際には、複数の業者を比較した上で、適切な価格かどうか判断した方がよいだろう。

また、輸入代行業者を利用するに先立って、本当に業者に頼る必要があるかどうか、調べてみるべきではないかという。今回の件のように、輸入代行業者が販売している商品は、実際には自分で購入できることもある。日本語に対応している海外の通販業者も増えており、外国語が苦手な人でも気軽に利用しやすい環境が整ってきている。


高橋 

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