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ご質問の回答です  ~岸博幸

 
早速読者の方々からご質問をいただきました。本当にありがとうございます。
なるべく簡潔に回答させていただきます。




①実際どんなディフェンスが必要なんでしょうか?すごい不景気が音もなくジワジワと迫って来る実感があります。松岡(経営者)

→これまではコロナによる需要の消失がメインだったので、政府から給付金などを受け取りつつじっと耐えていれば何とかなりました。

 しかし、これからは、コロナやロシア/中国ファクターで需要が十分に戻り切らない中で、原材料など供給に必要なコストが上昇するリスクが高まります。従って、コストを支払えずに突然死するリスクを避けるためにも、とにかくキャッシュフローを重視した経営にして、固定費を極力減らす、金融機関に融資枠の増額を依頼するなど、出来ることを何でもやっておくべきと思います。

 あと、これまでの累次の経済対策によって、政府や自治体による中小・零細企業の支援策には使い勝手が良い補助金などもまだ結構あります。それらの中で使える補助金はしっかり活用することも大事と思います。

②昨今の円安の根本的な原因は何ですか?日米の金利差ですか?もしそうだとしたら、素人目には岸さんが主張なさる財政出動と円安是正策は方向性として逆にうつるのですが、どうやって両立するのでしょうか。
あと、困窮世帯の救済はすべきだと思いますが、それは経済対策にもなるのでしょうか?経済の浮揚に低所得者の救済って有効なのかどうかが疑問で、小金持ち・中金持ちが遠慮なくお金を使えるようにならないと物価も上がらないし経済回らないように感じるのですが…。中坊(医師)

→今の円安の最大の原因はやはり日米の金利差だと思います。だからこそ、金融政策で金利差を減らしつつ(今の金融緩和を大規模に修正しなくてもやれる手はある)、財政政策で不況の原因であるGDPギャップを埋める、というマクロ経済の教科書的な対応がまずは必要ではないかと思います。
 困窮世帯の救済は、主には社会政策の観点になります。ガソリン価格の補助も同様ですよね。
 どうやったら小金持ちがバンバンお金を使うようになるか。。。これは本当に難しいですよね。ぜひお知恵を拝借したいです!

③さまざまな知識人の方が財政出動するべきだといっているのになんで財務省は財政出動したがらないのでしょうか?
澤村(若社長)

→財務省は基本的には経済全体のことよりも、自分の庭先、つまり財務省の所掌事項である財政のバランスのことを優先して考えがちです。その観点からは、なるべく毎年の財政出動額(=国債発行額)は少ない方が良い、なるべく借金は減らしたいとなります。

 ちなみに、今回のショボい物価高対策に加え、官邸は7月に参院選が終わった後に第2弾の経済対策を講じると報道されていますが、これはあまり期待できないと思います。こういう場合、通常は秋の臨時国会で補正予算を組みますので、そうなると実際にお金が世の中に出回るのは来年です。
 もちろん、選挙が終わったら8月に臨時国会をという声もあるようですが、それでも年内にお金が出回るのはかなり厳しいと思います。

岸 博幸(きし ひろゆき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。

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