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私が予想する今年の日本経済

 

  BOZZの今年の予想に触発されて、私も今年の日本経済について予想してみたいと思います。


 金融市場については、結論として、今年の日経平均は23,000〜28,000円、円ドルレートは120〜140円の間をウロウロする感じなのではと思っています。レンジが広くて恐縮ですが、それだけ今年は不確定要因が多いんです。

 まず、米国経済が春頃から景気後退入りするとして、それがどれだけ深刻でかつ長引くか、その影響でFRBの金融政策がどう展開していくか、誰も分かりません。かつ、外交面でも、中国については恐らく今年は大丈夫ですが、ロシア対ウクライナがどう推移してエネルギー価格にどう影響するかも、予測不能です。


 次に国内要因を見ても、日銀が金融緩和修正をどのようなペースで進めるか(2年物金利のマイナス目標をいつ止めるか、量的緩和の修正をいつ頃から始めるか)の予想が難しいです。かつ、広島サミット後に衆院選が行われる可能性はあるものの、それが岸田政権の退陣につながるか、逆に信任と長期政権につながるのかは、4月の地方統一選の結果次第です。

 ただ、敢えて言えば今年前半はどちらかと言うと悪い要因の方が目立つはずなので株価は低迷し、後半に盛り返す感じになるのかと思っています。そう考えると、投資の観点からは今年は難しい年になると思うので、株価がボトムに近いと思われる水準の時に大きく投資する、短期間での売り買いを繰り返して小さい利益を積み重ねるなど、自分なりの知恵と工夫で乗り切るのが大事ではないでしょうか。


 国民の暮らし向きにつながる日本経済全体ついては、大きく悪化はせず、昨年並み+α的な感じになるのではないかと思います。というのは、国際機関の経済予測を見ると、欧米諸国では昨年に比べて今年の成長率が大きく下がるのに対して、日本の今年の成長率は昨年より少し良くなると予測しています。日本経済のコロナ禍からの回復が欧米より遅かったことが幸いし、今年は欧米より日本の経済成長率の方が良くなるのです。

 ただ、だからと言ってボーッとしているだけでは暮らし向きは良くなりません。昨年起きた大きな構造変化(長引く戦争、欧米の金融政策の転換、コロナの終わりの始まり)により、日本の社会や経済はこれから数年かけて大きく変化(進化も退化もある)すると私は予想しています。(この観点からは、日本経済の進化につながる必要な改革をやろうとしない岸田政権は本当に困ったちゃんなんですが。。。)


だからこそ、その最初の年である今年は働くすべての人にとって、世の中の変化の方向を正しく捉え、それを踏まえて自分も進化を始めるべき大切な年になると思っています。投資も大事ですが、自分の能力や仕事のやり方、将来設計などもこれからしっかり進化させることが大事なんだという意識を、すべての読者の皆様に持っていただければ嬉しいです。そうすれば、今年はきっと皆様にとって良い年になるのではないでしょうか。

 

岸 博幸(きし ひろゆき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。

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