原宿(東京都渋谷区)といえば、多くの人々が全国各地、さらには世界中から押し寄せる人気の観光地である。原宿には各所に自動販売機が設置されている。一方で、飲み終えた缶やペットボトル等の空き容器を捨てる場所が非常に少ないとの情報が、読者から寄せられた。一例が、ラフォーレ原宿の近くにある、自販機が何台も設置された場所である。
自販機で飲み物を買って、周辺で休憩したりくつろいだりする若者が以前から多かった。だが、各自販機の横に設置されていた空き容器入れが、いつの間にか全て撤去されたという。当サイトがGoogleのストリートビューで確認したところ、2016年12月の時点では、本記事に画像を掲載した自販機の全てに空き容器入れが設置されていた。
情報提供者は、空き容器入れの撤去はやむを得なかったかもしれないと考えている。「一部のマナーの悪い人たちが(空き容器入れに)ゴミを捨てていたせいで、よく一杯になっていたんです。空き缶やペットボトルを捨てようと思っても入らないので、自販機の周りに放置していく人も多かったです。そのことが原因で、缶やペットボトルが道に散乱していました」。
カフェでテイクアウトした蓋付きのカップを空き容器入れに強引に押し込んで、入口を詰まらせてしまうという迷惑行為も多発していたという。缶やペットボトル以外を空き容器入れに捨てること自体がマナー違反であるが、それによって空き容器入れの入口が塞がり、投入できなくなってしまうのだ。
同様の問題は、近辺の建物の1階に設置された自販機の空き容器入れでも発生していたという。そして、その場所からも空き容器入れが数年前に撤去された。なぜ、このような迷惑行為に及ぶ人々が後を絶たないのか。情報提供者によると、マナーの悪い人々が空き容器入れにゴミや蓋付きのカップを捨ててしまうことを促進している要因があるのではないかという。
それは、一帯にはゴミ箱がほとんど存在しないということだ。大通りの交差点付近に空き容器入れとゴミ箱が設置されているが、人通りが非常に多いこともあり、特にゴミ箱はすぐに溢れてしまうそうだ。記者が現地を訪れた際も、ゴミ箱は満杯状態になっていて、ゴミの一部は地面にこぼれ落ちていた。
清涼飲料業界が制定した「自販機自主ガイドライン」には、「自販機販売管理者は、使用済み容器の回収ボックス(以下『回収ボックス』)を、原則として自販機1台に1個の割合で、自販機脇及びその周辺に設置する」と書かれている。当サイトでは、この点について清涼飲料自販機協議会に尋ねた。
担当者によると、協議会の会員企業では、自販機とセットで空き容器入れを設置してくれるように、ロケオーナー(自販機を設置する土地の管理者)に協力を依頼しているという。しかし、空き容器以外のものを頻繁に入れられるなどのトラブルが発生して、ロケオーナー側が難色を示すことがあるそうだ。
自販機が各所に設置されている割に空き容器入れが少ないというのは、確かに不便だろう。だが、その背景にある事情を考慮するならば、空き容器入れの撤去を単純に非難することは妥当ではない。原宿の事例では、ゴミ箱の設置数を増やすことは一つの改善策になり得るかもしれないが、同時に人々のマナー向上も不可欠なのではないだろうか。