観光客で賑わう街に野鳥の大群が!トラブルも発生、解決方法はないのか


1羽もしくは数羽の野鳥が枝に止まっている姿は微笑ましいが、膨大な数の鳥が群れをなしている光景となると、話は別かもしれない。ヒッチコックの映画「鳥」を思い出したという読者の方々も多いことだろう。しかし、映画や小説の中だけの出来事ならばよいが、そうした事態は意外にも私たちの身近な場所でも発生している。

大勢の観光客で賑わう、東京都渋谷区神宮前。近辺には表参道ヒルズやラフォーレ原宿をはじめ、多くの大型施設があることでも知られている。このたび、神宮前の企業に勤務する読者から情報が寄せられた。クリスマスのイルミネーションで有名な並木の一部が、ムクドリの集団に占拠されているというのだ。


(1)現地の様子

当該の場所にムクドリの大群が戻ってくるのは、夕方であるという。その時間帯に現地へ向かうと、けたたましい鳴き声が響いていた。大量のムクドリが各方面から次々に飛来してきて、樹上に止まる。周辺でしばらく撮影していると、観光に来ていたと思われる外国人が悲鳴を上げた。木の上から突然、目の前にフンが落ちてきたのだ。

 

 

ムクドリが集まっている木の下を見ると、道路には大量のフンが。情報提供者は言う、「以前からこういう状態なんです。ずっと放置されていて、解決の見込みもありません」。「美しい並木道」としてガイドブックなどにも紹介され、多くの観光客が集まる街として、このままでよいのかと疑問に思っているという。

 

 

 

 

並木道から少し離れた建物の上部に設置された看板にも、ムクドリの集団を確認できた。集団の一部はしばらく周辺を旋回して、並木道の方面へ飛んでいった。その後、日が落ちて暗くなるのを待ち、再び並木道へ。すると、周辺の店が営業している間はそのライトで一帯が明るいためか、樹上のムクドリたちは依然として鳴き続けていた。

 

 


(2)対策の可能性は?

当サイトでは、渋谷区役所に本件を尋ねた。区の担当者曰く、カラスによる各種の被害には対策を立てているが、その他の野鳥について扱う部署は存在しないとのこと。そこで区から紹介されたのが、東京都の自然環境部計画課の鳥獣保護担当だった。だが、神宮前のムクドリについては把握していないそうで、これまでに対応もとられていなかった。

都の担当者によると、他の地域の事例を見ても、このような問題に根本的な対策は存在しないという。樹木にネットをかけたり剪定したりしても、鳥たちは付近の木に移るだけだ。鳥が嫌う音を流して追い払っても、今度は集団の移動先で同じ問題が起きる。人間の側に一定の我慢が必要であり、これも自然との「共生」の一部であると、担当者は語った。

また、「駆除」という選択肢については注意が必要であるとの説明があった。鳥獣保護法の規定により、許可なく駆除を行うことは認められていないからだ。駆除は、様々な被害対策を講じても解決できない場合の最終手段であるという。ちなみに、ムクドリの個体数は全国的に増えているのかと尋ねたが、そうした点は把握していないとのことだった。


(3)まとめ

「共生」という響きのよい言葉から私たちが連想しがちなのは、豊かな自然環境だろう。だが、都の担当者がこの言葉を用いていたように、実は都会に生息する野生生物たちとの「共生」という問題もある。仮にムクドリを並木道から追い払ったとしても問題の解決にならないとすれば、鳥たちとの共生の道を探るしかないのだろうか。

 

高橋